本と映画と時々語学

書評、映画評など書き綴りたいと思います。

2020-01-01から1年間の記事一覧

映画『モスクワは涙を信じない』

人生初ロシア映画のレビューです。 ソビエト連邦時代の1980年に製作され、アカデミー賞外国語映画賞を受賞した作品です。 タイトルはロシアのことわざだそうですが、冷たそうな響きと裏腹に、とても温かい映画でした! ネタバレでお送りします。 あらすじ あ…

映画『灰とダイヤモンド』

第二次世界大戦終戦を迎えたポーランドで、激動の歴史の一場面を切り取った映画をご紹介します。 ポーランドの黒澤明ともいうべき、アンジェイ・ワイダ監督の作品です。 ネタバレでご紹介します。 あらすじ 映画の背景 検閲対策 ポーランドの分断 隅々まで雄…

ドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』2

ドラマ『ハウス・オブ・カード』のレビュー第二弾です! 前回はシーズン3までの内容を中心に書きましたので、今回はシーズン4からシーズン6(最終シーズン)をネタバレでご紹介します。 あらすじ シーズン4 シーズン5 シーズン6 おわりに あらすじ 副…

映画『新聞記者』

実在の事件をモチーフに、政治とメディアの在り方を描いた邦画をご紹介します。 緊張感のある脚本と映像に、目が離せないまま終わる作品です。 いつも通りネタバレします。 あらすじ 現実社会の投影 国という組織 メディアの在り方について 大学の謎 おわり…

映画『セントラル・ステーション』

人生で初めて観たブラジル映画のレビューです。 ヒューマンドラマでありながら、ブラジルという国の多様性と自然の雄大さを伝える映像にも圧倒される作品でした。 かなりネタバレしてます。 あらすじ 極悪ではないが善良でもない主人公 踏んだり蹴ったりの旅…

ドラマ『アンオーソドックス』

ニューヨーク、ブルックリンのウィリアムズバーグに住むユダヤ教徒の主人公が、超正統派ユダヤコミュニティからベルリンへ出奔するドラマをご紹介します。 知られざるユダヤ教の世界を目にして驚く半面、主人公エスティの力強さに勇気づけられる珠玉の作品で…

ドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』

ネットフリックスによる、米国政治の世界を舞台としたドラマシリーズをご紹介します。 『ゲーム・オブ・スローンズ』が好きだった人ならきっと刺さる、権謀術数とパワーゲームの物語です! 頑張りますが一部ネタバレします。 あらすじ ドラマとしての見どこ…

映画『黄泉がえり』

竹内結子さんの訃報を聞いて再鑑賞しました。 草彅剛さん、竹内結子さんの二人がメインキャストです。 観たのが大昔だったのでかなり忘れていました。 いつも通りネタバレでお送りします。 あらすじ 死と癒やしを見つめるヒューマンドラマ 辛い別れのなかで…

映画『サンセット大通り』

歳を取るのが怖くなる要素を詰め込んだ、フィルム・ノワールの秀作をご紹介します。 脚本の神様ビリー・ワイルダーによる作品です。 ネタバレがありますので、ご注意ください。 あらすじ ノーマという狂気 後悔すらできないこと ジョーという人物 映像作品と…

映画『西部戦線異状なし』

第一次世界大戦を若い兵士の視点から切り取った名作のレビューです。 派手な演出はないながら、粛々と不戦を訴える内容に高い評価を得た作品です。 あらすじ 反戦映画の代表格 第一次世界大戦とヨーロッパ 戦地を離れて おわりに あらすじ 第一次世界大戦下…

映画『幸福な食卓』

三浦春馬さんの訃報を聞いて、しばらくして思い出した映画。瀬尾まいこさんの小説が原作の、ある家族のお話。 一度は壊れかけた人と家族が、透明感ある優しさでつながり、再生していく過程が、長野の美しい自然を背景に綴られます。

映画『市民ケーン』

たびたび名作と紹介されるモノクロ映画の一つ『市民ケーン』のレビューです。 ある富豪の生涯を追ったストーリーを、ご紹介・解説していきます。 あらすじ 出会いと別れ ケーンと「買う」こと ケーンと「愛する」こと バラのつぼみ おわりに あらすじ フロリ…

ドラマ『コール・ザ・ミッドワイフ ロンドン助産婦物語』

ロンドンの助産師さんの実体験を基に作られた、BBCのドラマをご紹介します。 日本語字幕がついて流通してるのはシーズン1から3までなので、この3シーズン分についてのレビューとなります。 本国ではシーズン8まで放映されているという大長編です(しかし…

映画『羅生門』

白黒映画史上屈指の映像美と、人間のエゴを浮き彫りにする脚本が国際的な注目を浴びた黒澤明監督作品のレビューです。 今は亡き三船敏郎さんの名演も特筆すべき特徴です。 ネタバレしながらお送りします。 あらすじ 映像の美しさ 脚本の妙 おわりに あらすじ…

映画『gifted/ギフテッド』

大好きな映画だけど複雑すぎてなかなかレビューを書けなかった一作です。 天才的な頭脳を持って生まれた女の子と、彼女にとってベストな環境を探る叔父の絆に考えさせられる作品です。 ネタバレでお送りします。 あらすじ 天才的な子どもということ イヴリン…

映画『トールキン 旅のはじまり』

『ロード・オブ・ザ・リング』原作者の半生を追った映画のレビュー・紹介記事です。 基本的には『ロード・オブ・ザ・リング』を観た方、原作の『指輪物語』を読んだ方向けのお話です。 私は映画視聴済み、原作読了済みなので、もちろん隅々まで堪能してまい…

映画『パラサイト』

今年のアカデミー賞作品賞受賞作をご紹介します。 ネタバレせざるをえないのでネタバレしながらレビューいたします。 あらすじ 前半と後半のメリハリ 比較と不幸 金持ちだからこそ おわりに あらすじ 半地下の薄汚い住居で暮らす四人家族、キム一家は、全員…

映画『蜜蜂と遠雷』

人気音楽小説の映画化作品をご紹介します。 原作を読んだから、松岡茉優ちゃんが好きだから、というある意味安直な理由で観てみた本作ですが、これが大当たりでしたー。 原作より素晴らしいと思った映画化作品は初めてかもしれない。 映画館で観てから時間が…

映画『17歳』

フランソワ・オゾン監督による、ある少女の一年を追った映画をご紹介します。 たくさんの人にあまねく響く内容ではないかもしれませんが、個人的にはかなりポイントの高い映画です。 性的描写の多い映画なので、苦手な方はスキップして頂いた方がいいかもし…

ドラマ『やまとなでしこ』

愛かお金か、というテーマに挑んだラブコメのご紹介です。 主人公の強烈なキャラクターと、一貫したテーマでたくさんの人が夢中になった本作。 再放送にあわせ、ネタバレありのレビューを綴ってみます。 あらすじ 桜子の強烈なキャラクター 幸せを探さない欧…

映画『ダウントン・アビー』

大好きなドラマシリーズの劇場版を観たのでご紹介します。 端的に言ってドラマファン歓喜!な内容です笑 ネタバレしながらレビューを綴ります。 あらすじ 懐かしのメンバー健在 映像作品として おわりに あらすじ ダウントンに、英国国王夫妻が視察に訪れる…

映画『WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~』

以前紹介記事を書いた小説がパワーアップされて映画になっていましたのでご紹介します。 イマドキの子なのに憎めない素直な主人公に、だんだんと感情移入してしまう珠玉の名作です。 ネタバレを含みます。 あらすじ 原作との比較 細部に宿る監督の魂 新米社…

映画『ROMA/ローマ』

2019年アカデミー賞外国語映画賞・監督賞・撮影賞を受賞した作品をご紹介します。 映像の美しさと静かなストーリーが相まって、何とも余韻が染みる映画です。 アメリカ映画なのですが全編スペイン語で、一部ミシュテカ語が話されています。 最後までネタバレ…

ドラマ『ザ・クラウン』

Netflix制作のドラマ、『ザ・クラウン』をシーズン1からシーズン3までコンプリートしたのでご紹介します。 最序盤では「同じ英国ドラマの『ダウントン・アビー』の方が面白かったかな?」と思っていましたが、だんだんと視聴ペースが上がっていきました笑 …

映画『リンドグレーン』

北欧を代表する児童文学作家、アストリッド・リンドグレーンの若き日を綴った映画のご紹介です。 原題は原語(スウェーデン語)で"Unga Astrid"、英語で言うと”Young Astrid”(若き日のアストリッド)だそうです。 基本的には彼女の本を読んだ人を対象にした…

映画『愛を読むひと』

ドイツ留学中に現地で観て、今般再鑑賞した映画です。 数奇な恋愛の話かと思いきや、ナチスドイツの罪を問う重々しい展開に後半は圧倒されがちになります。 最後までネタバレします。 あらすじ ハンナの葛藤 ハンナの秘密 マイケルの反省 ハンナと本 ナチス…

映画『マリッジ・ストーリー』

ある夫婦の離婚を描いた秀作映画をご紹介します。 離婚未経験の既婚者、という状況で観てみて出てきた感想を、ネタバレしながら率直に綴っております。 あらすじ 離婚というテーマ チャーリーの苦悶 ニコールが望んでいたこと 対等なパートナーでいるには お…

時間がキーワードになる映画6選

6月10日の時の記念日にちなんで、物語の中で時間がキーワードになる映画6本をまとめてみました! 1.アバウト・タイム~愛おしい時間について 2.きみがぼくを見つけた日 3.ベンジャミン・バトン 数奇な人生 4.君の名は。 5.青天の霹靂 6.バック…

長くて濃い!大長編映画9選

巣ごもり期間中にアップロードすべきだったのですが、今更ながら。 時間長いなあ…と敬遠してしまうけれど、是非観てほしい!と思うおすすめ大長編映画をご紹介します。 歴史を語る大河ドラマ アラビアのロレンス(207分) 風と共に去りぬ(231分) ゴッドフ…

映画『ラヂオの時間』

自粛中だからこそコメディで笑いたいなと思い観てみたら、想像以上に面白かったのでご紹介します。 三谷幸喜監督作品で、若かりし頃の唐沢寿明が大活躍しています。 遠慮なくネタバレします。 あらすじ ラジオドラマの生放送に向けてリハーサル中のスタジオ…