本と映画と時々語学

書評、映画評など書き綴りたいと思います。

映画

映画『戦火の勇気』

湾岸戦争を背景にした映画のレビューです。 メグ・ライアンとデンゼル・ワシントンが主演を務めた作品をご紹介します。 戦場サスペンスという一面がありつつ、強いメッセージも持っている作品です。 原作小説の原書を読んだことがありますので、そちらにも簡…

映画『日の名残り』

人生の回想を軸とした、カズオ・イシグロ原作の映画をご紹介します。 原作の小説も読了していますので、そちらも意識しながらレビューを書きました。 ネタバレでお送りしています。 あらすじ 仕事に人生を捧げた主人公 一人称の回想 回想に付随するテーマ お…

映画『奇人たちの晩餐会』

フランス発のシュールなコメディ映画をご紹介します。 「パリジャンは嫌な奴」というステレオタイプを全力で体現したかのような人物が主人公です。 あらすじ パリの出版社社長ピエールは、友人数人と、奇人変人を見つけては晩餐会に招き、その変わり者ぶりを…

映画『シェルブールの雨傘』

フランス映画屈指の名作であり、ミュージカル映画の古典とも言える『シェルブールの雨傘』のレビューです。 ストーリーが似てる『ラ・ラ・ランド』も悪くないけど私は断然こっちが好きです。 今回はあんまりネタバレしてません。 あらすじ 美しいミュージカ…

映画『ハクソー・リッジ』

珍しくリアルタイムで観た映画のレビューをば。 直前まで観に行こうか迷っていましたが、結論から言うと心から観て良かったと思いました。 あらすじ 汝、殺すなかれ 命をかけた戦いとは 仲間たちの変化 日本側の描写 おわりに あらすじ 良心的兵役拒否者のデ…

映画『エイミー』

初めてオーストラリアの映画をご紹介します。 小さな女の子が主人公の映画『エイミー』のレビューです。 「子どもを主人公にすれば素人は泣くと思ってるんだろう!?」と言った人をバッサバッサ倒してきたであろう本作は、お気に入りの作品の一つです。 「新…

ヒロインが活躍する映画10選

ヒロインが恋愛以外の領域でもかっこよく活躍する映画をまとめてみました。 恋愛で活躍するのはお約束のため、それ以外の活躍がみとめられた作品のみ計上しています。 実在の人物を描いた作品 『エリン・ブロコビッチ』 『ハンナ・アーレント』 『テルマ&ル…

映画『マイケル・コリンズ』

アイルランド独立戦争を巡る歴史映画をご紹介します。 イギリスの支配に抵抗し、アイルランド独立のため闘ったマイケル・コリンズの生涯を映画化した作品のレビューです。 リーアム・ニーソン、アラン・リックマン 、ジュリア・ロバーツなど、錚々たるキャス…

映画『サイダーハウス・ルール』2

映画『サイダーハウス・ルール』のレビューの続きです。 成長物語として ルールと信念 人間の浅ましさと温かさ 希望を感じさせるラスト おわりに

映画『ドラゴン・タトゥーの女』

前記事でご紹介した『ドラゴン・タトゥーの女』の映画化作品についてレビューします。 この『ミレニアム』シリーズは、ハリウッドで第1作『ドラゴン・タトゥーの女』が、 スウェーデンで三部作すべてのエピソードが映像化されています。 ネタバレを続けなが…

観るのが早すぎた映画

映画が好きになったのは10代前半の頃で、それ以来背伸びしながらいろんな作品を観ました。 大抵の映画は、若造が見てもそれなりに凄さが伝わる内容でしたが、一部「???」という状態で終わってしまった映画がありました。 きわめて個人的なリストですが、…

映画『ガタカ』

SF映画の傑作、ガタカをご紹介します。 人間のDNAを操作できる近未来を舞台とした作品です。 レビューを書くのが難しそうで先延ばしにしてきましたが、このたび鋭意トライすることに決めました。 ラストまでネタバレします。 あらすじ 別人を生きる孤独 可能…

映画『道』

ものすごく久しぶりにイタリア映画のレビューです。 愛って何なんだ!と考えたい方にご紹介したい映画です。 イタリア映画屈指の名作であり、アカデミー賞最初の外国語映画賞を受賞した作品でもあります。 製作は1954年で、全編モノクロフィルムです。 惜し…

映画『7月4日に生まれて』

トムクルーズの代表作の1つであり、ベトナム戦争に対し大きな反省を投げかけた映画をご紹介します。 もうすぐ7月4日なのでこの映画を思い出しました。 あらすじ アメリカ独立記念日が誕生日の主人公ロンは、高校卒業後すぐに海兵隊へ入隊し、ベトナム戦争に…

映画『めがね』

久々に邦画のレビューです。 『かもめ食堂』の小林聡美、もたいまさこを迎えて作られた、ゆるやか非日常映画です。 kleinenina.hatenablog.com 劇中の風景が初夏や夏に観るのにぴったりだなーと思いながらご紹介します。 あらすじ 春先の南の島に、スーツケ…

映画『オンディーヌ 海辺の恋人』

おとぎ話を下敷きにしたアイルランド映画のレビューです。 あまり有名な作品ではありませんが、個人的にはアイルランドの海辺の風景が美しかったのと、お伽噺と現実の融合が巧みだったので強く印象に残っています。 結末はネタバレしないように書いています…

映画『死ぬまでにしたい10のこと』

23歳の女性が、突然余命2ヶ月であると宣告され、その後どのように生きたかを綴る映画のレビューです。 完全にフィクションです。 スペイン人のイザベル・コイシェが監督、ペドロ・アルモドバルが製作を担当しています。 舞台はスペインではなくカナダ・バ…

映画『モダン・タイムス』

※午前中、編集途中バージョンがアップロードされてしまい、お見苦しい記事となり、すみませんでした。 喜劇王と呼ばれたチャーリー・チャップリンの代表作『モダン・タイムス』のレビューです。 時代は既にトーキーでしたので、有声映画なのですがほとんどの…

映画『潜水服は蝶の夢を見る』

久しぶりにフランス映画のレビューです。 叙情的で内省的な文章と、美しく壮大な映像が惜しみなく綴られる一方、人間味に溢れた主人公のモノローグが印象的な映画でした。 静かに人間の内面を顧みるような作品です。 なお潜水服とは、彼を閉じ込め、自由から…

映画『BIUTIFUL ビューティフル』

久しぶりにスペインを舞台とした映画をご紹介します。 スペイン語の勉強を兼ねて観始めました。 しかし、基本的に抑えた表現が多いので登場人物たちは一様に声が低く、淡々と呟きます。 リスニング教材としてはかなりハードルが高かった。 よって、途中から…

映画『エスター』

初めてガチホラー映画のレビューをご紹介します。 今までスペインのホラーコメディ『スガラムルディの魔女』以外はホラーの領域に足を踏み入れていませんでした。 kleinenina.hatenablog.com 好き嫌いなく観ますと いいつつも、ホラーだけは怖くて観られなか…

映画『ハゲタカ』

硬派経済ドラマの劇場版作品です。 NHKドラマで人気を博した作品で、原作は真山仁の経済小説『ハゲタカ』シリーズです。 本作はシリーズ3作目『レッドゾーン』を下敷きに映像化されています。 制作中にリーマン・ショックが発生し、元々の脚本が全く現実社…

映画『イングロリアス・バスターズ』

クエンティン・タランティーノ監督が第二次世界大戦下のヨーロッパを舞台に選んだ映画をご紹介します。 タランティーノ監督作品のレビューを書くのは初めてです。 ブラッド・ピットなどハリウッド俳優が登場する一方で、ヨーロッパを中心に活動している俳優…

映画『ローマの休日』

『ティファニーで朝食を』に続き、オードリー・ヘップバーン主演の名作映画をご紹介します。 こちらはストーリーが少なからず有名ですね。 有名すぎてネタバレするのもいまさらですが、念のため書いておくとネタバレします。 あらすじ 王女が市井に降りると…

映画『桐島、部活やめるってよ』

話題になった朝井リョウの小説を映像化した邦画作品のご紹介です。 原作小説は、小説すばる新人賞を受賞した、朝井リョウ氏のデビュー作で、短編5編のオムニバス形式。 原作は未読ですが、短編の集合だったことがわからないくらい、自然に統合された長編と…

映画『バグダッド・カフェ』

『マイ・ブルーベリー・ナイツ』に引き続き、元気になれるロードムービーをご紹介します。 先日再視聴したところ、レビューを書きたくなった次第です。 西ドイツとアメリカの共同製作映画で、原題は原題は"Out of Rosenheim"、英題が"Baghdad Cafe"です。 こ…

映画『マイ・ブルーベリー・ナイツ』

少し久しぶりにロードムービーのレビューを書きました。 癒されるラブストーリーをお探しの方にご紹介したい映画です。 失恋のあとにぼんやり観られる映画としてもおすすめです。ネタバレしてます。 あらすじ 優しいラブストーリー 様々な人生模様 おわりに …

映画『おくりびと』

季節感ゼロですみませんが『おくりびと』をご紹介します。 おそらく本来は冬に観る映画です。 主な舞台は主人公の故郷山形県で、冬の景色が多く出てきます。 本作は内外で高い評価を受け、アカデミー賞最優秀外国語映画賞を受賞しています。 盛大にネタバレ…

映画『スペシャリスト/自覚なき殺戮者』

ナチスの戦犯の裁判を記録したドキュメンタリー映画のレビューです。 どっしり重い内容ですので、心が疲れている時には避けた方がいいものの、もっと日本で内容が知られてほしい映像作品だと思ったのでご紹介します。 いつも通りネタバレでお送りします。 あ…

映画『ティファニーで朝食を』

自分に自信を持って生きたいと願っているすべての方に贈る名作映画です。 タイトルは誰もが知っているけれど、詳しいストーリーや結末を知っている人は、実は少ない作品なのではないでしょうか。 私自身、事前知識がない状態で観たところ、ラストで号泣しま…