本と映画と時々語学

書評、映画評など書き綴りたいと思います。

Sex and the Cityと東京タラレバ娘

映画の記事がほとんでですが、今週最終回を迎えた『東京タラレバ娘』を見るたびにSATCを思い出していたので、この機にネタバレを盛大にかましながら書いてみようと思います。

 

 

Sex and the Cityについて

あらすじ

ニューヨークに住む恋愛コラムニストのキャリーは「恋愛至上主義」を人生の信条に掲げ、暇を見つけては女友達と街に繰り出し、独身生活を謳歌しながら新たな恋を探している。

キャリーに加えて3人の女友達(弁護士のミランダ、PR会社経営者のサマンサ、ギャラリーのマネジャーであるシャーロット)も含めた、仕事や様々な人生の一場面を描く恋愛群像劇。

 

 

何歳になっても人生を楽しむドラマ

このドラマが最初に始まったのは1998年なので、実に20年近くも前です。

4人の主人公たちは大都市ニューヨークでそれぞれの仕事を持ち、経済的に自立し、都会の生活を楽しんでいます。ドラマが始まった時のキャリー、ミランダ、シャーロットの年齢はたしか33歳くらい。サマンサだけ他の3人より「少しだけ年上」で、42歳程度の設定です。

このドラマには、第1シーズンの第3話のタイトルが『シングルでなぜ悪い?(Bay of Married Pigs)』であることからもわかるように、これまでの独身生活のなかでキャリアを積み恋愛も楽しんできた女性たちが直面する、独身者と既婚者の生活・思考の違いや、30代~40代のなかで経験する人生ステージの変化を、コメディの中で鋭く洞察するという要素があります。

勿論、男性をとっかえひっかえしながら無数の恋愛を楽しむという描写についても豊富なエピソードが用意されています。

 

メインロールの個性

特徴的なのは、主人公4人のキャラクターがバラバラで、仕事や人生に対する考え方がそれぞれに違っていると言うことです。

キャリーはミスター・ビッグに割と一方的に流される恋愛をしつつ、次に出会った誠実なエイダンからのプロポーズを受けても、生涯のパートナーになる覚悟ができず別れたりと、一番刹那的で直感に従う人物。

サマンサは男性をとっかえひっかえして快楽に生きるタイプで、結婚なんか絶対にしないと決めている。

ミランダはバリバリのキャリアウーマンで、一見何でもはっきり言えるサバサバタイプに見えるけども実は内面を人に見せるのが少し苦手。一番好きな相手に愛してると言えなかったりする。

シャーロットは結婚と子どもを持つことへの願望が4人の中で唯一強く、運命の相手との最高の結婚をし、最高の家庭を持つことを望んでいる。家庭生活のために仕事を辞めることも厭わない。

4人の個性がいかんせん強すぎるので、ドラマを見ていると「何でこの4人が仲良く友達してるんだよ!」と思ったり、しょっちゅう集まってランチやクラブに行ってるので「いつ仕事してんだよ!」と思ったり、しょうもないツッコミは多々入れたくなりました。でもこのドラマは見紛うことなき名作だと思います。

若い時には、個々人のバックグラウンドを抜きに、同じ学校にさえいれば友達になれたりしますが、そうしてつながった人たちとも、互いの人生の状況が変わってくると疎遠になってしまったりします。結婚とか出産とか昇進とか。

群像劇でそう言った人生ステージの変化による様々な環境の移ろいを正面から取り上げて、ユーモアを交えつつ、それぞれの立場にある女性たちを激励しているような感じがします。

 

華やかだけど共感を掴むヒロイン

たとえば、ミランダとシャーロットは考え方が対極的で、シャーロットが結婚のためにギャラリーを辞める時に2人は微妙な雰囲気になります。

キャリアを積むのをやめても家庭生活に専念したいシャーロットと、それを理解できないミランダは、(今までもわかっちゃいたけど)考え方が正反対であることが露呈。自信を持って決断したことだったけど、シャーロットは動揺して「私は間違ってないんだから!間違ってないって言ってよ!」とミランダに半泣きで迫ったりします。

人生に正解はないけど、だからこそみんな自分の決断を疑ったりもしたくなる。このドラマの個性豊かな登場人物じゃなくても、こういう決断とか迷いは誰の人生でも直面しうると思います。

最終的にシャーロットは願いどおり幸せな家族を持ち、ミランダも仕事と家庭を両立させながら生きていきます。

ドラマ最終盤でシャーロットやミランダが結婚し、享楽的に生きてきたサマンサまでもが固定のパートナーを得た時、キャリーは交際している芸術家についてパリに行くことを決心します。

本当に今の生活を捨てていいのかと自問自答し、周りから心配されながらも、友達みんなが人生のパートナーを見つけている状況で独りになる不安に圧されたのか、キャリーはあくまでもフランスでの新生活に希望を託そうとします。

人は人、自分は自分と思っていても、何歳になっても不安になったり、他人と自分の人生を比較してしまうこともある。

 

SATCは上記のような「人生あるある」が感じられる場面を、華やかで個性的な登場人物たちの群像ドラマに織り込むことで、観ている人の共感と憧れを同時に掴んだのではないかと思います。

 

次の記事でタラレバ娘との比較を書きたいと思います!

 

  

 

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