本と映画と時々語学

書評、映画評など書き綴りたいと思います。

ドラマ『シャーロック』1

 初めてイギリスのドラマをご紹介します。

イングランドが誇る名探偵シャーロック・ホームズの強烈なキャラクターはそのままに、舞台を現代に置き換えたミステリシリーズです。

鉄板過ぎてレビューを書くのも今さらですが、シーズン4を心待ちにしながら書いてみます。

本作のメインロールを務めるベネディクト・カンバーバッチマーティン・フリーマンは、忙し過ぎてシャーロックの続編を撮るのが困難になるくらい大出世してしまったというヒット作品です。

 

 

あらすじ

アフガニスタンから帰国した軍医のジョン・ワトソンは、原因不明のストレスで片足が動かない不自由な生活を送っていた。

ルームメイトを探していた彼は知人から、ロンドンのベイカー・ストリートに住むシャーロック・ホームズなる人物を紹介される。

頭脳明晰だが、自分について行けない人間を容赦なく拒絶し、刺激のない毎日に決して耐えられない個性の塊にワトソンは驚く。

しかし、彼に言われるまま事件の追跡に巻き込まれていくうちに、ワトソンはいつの間にか足が動かせるようになっていることに気付く。

日々数々の怪事件・難事件が持ち込まれる探偵シャーロックと、実は非日常との接点がないと生きていけないワトソンの、奇妙な生活が始まった。

 

 

シャーロックという人物

シャーロックは、知的好奇心やスリルに満ちた生活を送ることを望み、面白そうな事件がないか常にアンテナを張っています。

事象に対する判断を「面白いか面白くないか」でしかしないので、純粋に不謹慎だと思える場面も多々あります。笑

また、尋常でなく頭が良いので、視野に入った数々のエビデンス(普通の人にとっては背景の一部として見逃していること)をもとに、求められていない答えでもあっという間に出してしまいます。

例えば、ワトソンに会ったその場で、彼がアフガニスタンから帰還してきた軍関係者であることを見抜いていました。

頭が良すぎるため、他人を見下す発言の強烈さは時折清々しいとすら感じられるほどです。

特に刑事レストレードやドノヴァンは、常に下に見られており、シャーロックの好敵手モリアーティの方がはるかにシャーロックからの敬意を払われているのではないかと考えられます。

 

メインロールの変化も魅力の1つ

ところが、そんな彼のほぼ唯一の友人ジョン・ワトソンは特別な存在です。

ジョンが「お前みたいな傲慢な奴のことはもー知らん!」とシャーロックを突き放すエピソードがあります。

明らかな動揺を見せたシャーロックは、自分の社会性のなさに絶望し、ありもしない愛想を無理やり振りまき始めるのです。

彼の張り付いたような笑顔は、爆笑シーン集の筆頭に挙げられることでしょう。

非常に僅かではありますが、個性が強過ぎて社会性のない主人公が、社会性を獲得していく過程が盛り込まれているのも特徴的な面白さの1つです。

同じような面白さは、スウェーデンの大ヒット推理小説シリーズ『ドラゴン・タトゥーの女』にも盛り込まれていますね。

しかしそうした変化が主人公に訪れても、話が面白くなくなる事は一切ないのは凄いの一言に尽きます。

また、かけがえのない相棒であるジョンに恋人が出現することもメインロールに訪れる重要な変化の1つです(シーズン3)。

男同士の友情が1つの軸だったのに、メインロールに女性が加わったら面白くなくなってしまうのではと心配した人もいるかもしれません。

しかしそんな心配は全く不要でした。

むしろジョンの私生活を支えるために人知れず奮闘するシャーロックの姿に、成長したなぁと涙を拭った人の多いのではないでしょうか。笑

 

 シャーロック愛が講じてレビューが長くなってしまったので、次の記事に続きます。