映画『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』
ドイツ映画でおすすめは、と訊かれたら、筆頭に挙げたい作品です。
コメディ映画でおすすめを訊かれた時も、絶対にこれを挙げたいくらい、かっこよくて楽しくて切ない映画です。
ロードムービー界でも間違いなくトップです。
あらすじ
2人の若い男性マーティンとルディは、不治の病で余命僅かと宣告された。
まだ一生で一度も海を見たことがないというルディに海を見せるため、
マーティンは彼を連れて病院を脱走し、何度も差し向けられる追っ手を間一髪で振り切りながらドイツ北部の海へと向かう。
名優ティル・シュヴァイガー
ドイツ映画を代表する俳優ティル・シュヴァイガーがマーティン役として出演しており、若い頃から凄まじくスクリーン映えする俳優だったことが実感できました。
日本でドイツ映画を観たことがある人と話すと、高確率でティル・シュヴァイガーかっこいいというコメントが出てくるのも納得。
疾走感あるロードムービー
2人が海に向かう道中は、車をかっぱらったりマフィアから大金をネコババしたり実に忙しい逃避行になります。
余命わずかな2人が願いを叶えるために思い切った行動に出る系の映画は他にもありますが、みてて心地よい疾走感でこれに勝る作品はないんじゃないかと思います。
主人公2人が若いからこそ、スピード感や刹那的な行動が絵になり、切なさも付加されます。
90分という短さも手伝って、内容が薄まらず密度の濃い展開。
病院を脱走したはいいけどお金もなければ服もご飯もないので調達しながら各地でめちゃくちゃやります。
追っ手と対峙してピンチになったり、すんでのところで敵とニアミスする場面が何度も訪れますが、2人の大胆さや機転や熱意や、はたまた友情を頼りに切り抜けます。
その度に観ている側は安堵して、どんどん2人のペースに引き入れられていく感じ。
キャラクターの魅力
病院を抜け出した当初こそ、マーティンの勢いにルディがついていくような流れではあるものの、旅を続けるうちに2人は共通の目的を持った唯一無二の友になります。
その変化がぐっときます。
各地で出会ったりすれ違ったりするモブキャラの人々もいい雰囲気を醸し出しており、こんな人いたなーとかあの人面白かったとか観終わったあとに思い出してしまいます。
個人的にはトルコ人移民のおっさんたちが良かった。
おわりに
観終わった後は切ないけど爽やかな気分になれます。
余命わずかで生きられる時間が限られていて、お金も物もない若者2人が何だってできたんだし、全力で、願うらくは大胆に生きなきゃなと思えました。
元気になりたいときにお勧め。
書いてるうちに、『ジョジョの奇妙な冒険』第4部の岸部露伴のスタンド、ヘブンズ・ドアーを思い出してしまいました。
実写映画化どうなるんですかねえ。