映画『サラの鍵』
第二次世界大戦下、ナチスドイツに占領されたフランス国内で、ヴィシー政権(ナチスによるフランス傀儡政権)により多数のユダヤ人が一斉検挙される事件がありました。
ヴェル=ディヴ事件と呼ばれるこの出来事を扱ったフランス映画をご紹介します。
- あらすじ
- ヴェル=ディヴ事件について
- ジュリアの視点
- おわりに
あらすじ
2009年のパリ。
アメリカ人ジャーナリストのジュリアは、ヴェル=ディヴ事件の取材をしていたところ、現場付近に住んでいた人物から、ユダヤ人一斉検挙の惨状について衝撃的な証言を聞かされる。
更に、娘やフランス人の夫と住もうとしていた家が、事件時に検挙されたユダヤ人から没収された家であることが判明する。
ジュリアはかつてその家に住んでいたユダヤ人について真実を突きとめようと動き出すも、夫たちはあまり良い顔をしない。
また、第2子を授かったことについても、夫は出産と子育てに否定的だった。
1946年のパリでは、サラという小さな女の子が、両親と弟とつましく暮らしていた。
しかしある日、ヴィシー政権による一斉検挙が行われ、ユダヤ人地区の人々は根こそぎ連行される。
連行先は冬季競輪場(通称ヴェル=ディヴ)。
サラはとっさに弟を寝室の納戸に隠し、鍵をかけて両親とともに家を出る。
すぐに家に戻り、納戸から弟を出して再会するつもりだった。
しかし、サラは両親とともに遠方の収容所へ送られることになってしまうのだった。
続きを読む映画『アンナ・カレーニナ』
ロシア屈指の文豪、トルストイの代表作の映像化です。
これまでにも何度も映画化されていますが、今回はキーラ・ナイトレイをヒロインとした2012年の映画についてご紹介します。
今回初めて『アンナ・カレーニナ』というものに触れましたが(原作は未読)、何度も映画化される理由がよく分かりました。
ネタバレをかましつつレビューを書きます。
- あらすじ
- アンナ、ヴロンスキー、カレーニン
- 対極リョーヴィン
- 舞台演劇のような演出
- おわりに
あらすじ
ロシアの有能な政府高官の妻アンナ・カレーニナは、ある日兄夫婦の喧嘩の仲裁のためモスクワを訪れる。
彼女の美しさに目を奪われた若き将校ヴロンスキーと、アンナは互いに惹かれあう。
忘れるようにと諭すアンナの言葉を無視し、ヴロンスキーはサンクトペテルブルクまで彼女を追ってやってくる。
やがて人目を忍んで思いを通わせるようになる2人だったが、社交界にその仲が知れ渡るまで時間はかからなかった。
続きを読む映画『キューティ・ブロンド』
ヒロインが成長・活躍する痛快なアメリカンコメディをご紹介します。
思い切り笑ってスッキリした展開を楽しみたい時にお勧めです。
あらすじ
学内クラブのスター学生エル・ウッズは、誰もの目を引くルックスとファッションセンスの持ち主。
彼女には将来を約束された恋人ワーナーがいたが、ある日「ハーバードの法科大学院に行くから遊んではいられない」と突然振られてしまう。
彼を取り戻そうと、猛勉強してハーバード法科大学院への入学を目指し始めたエル。
その先には、彼女自身も予想しなかった学生生活が待ち受けていた。
可愛いだけじゃないヒロイン
天然ブロンドと可愛らしい顔、完璧なファッションに身を包んだエルは女子学生の羨望の的です。
ファッションビジネスを専攻しながら、自らのセンスを活かして課外活動もしています。
そんなキャラクターなので友人も沢山おり、こうしたコミュニケーション能力や人脈を作る力が後々にも活きてきます。
序盤では可愛いだけのヒロインに見える彼女ですが、それだけでは乗り越えられない壁にぶつかって真面目に勉強したりします。
また、持ち前の明るさと機転で厳しい状況でも味方や友人を見つけたりと、問題をきちんと解決してストーリーが進んで行くところが見所です。
基本的に育ちが良いので、見返りを期待せず誰にでもぽーんと善意のオファーができるところも彼女の強みです。
ポーレットや、同級生の真面目くんと友好関係ないしは同盟関係を築く過程は丁寧な伏線が張られていました。
可愛いだけで自然と何もかもうまく行ってしまう、という展開ならこんなにファンの多い映画にはならなかったでしょう。
エルが自力で目の前の課題に取り組んでいるところが、ヒロインとしての最大の魅力かもしれません。
第一印象にとらわれないこと
ブロンドの女性は可愛いけど頭が空っぽ、というのは英語圏のメジャーなジョークネタのようです。
実際にヒロインは「頭の良くない残念な女の子」と見られて不本意な扱いを受けたり、見た目だけを目当てに近づいてくる人間に出会ったりします。
しかし、基本的にまっすぐな性格のエルは、悔しさをバネに一念発起し、彼女をバカな女の子だと思っていた学生や教授を見返したり、実力がなければ手にできない実績やポストを手に入れていきます。
自分に対する第一印象を次々覆して行く過程が痛快で、見ていてスカッとすること請け合いです。
また、彼女が本気でぶつかって行ったことによって、第一印象とは違った一面を見せてくれる人も出て来ます。
嫌な奴だなーと思っていたのに、自分が一生懸命やっている姿を見ていつの間にか応援してくれる人になっている。
そうした嬉しい驚きが隠されているのも、この映画の楽しみの1つです。
頑張った成果は思わぬ形で
最終的に彼女は、当初思い描いていたのとは全く違う未来を手にします。
しかし、それもリアルな人生っぽくていいですね。
「こんな自分になりたい!」と思って勉強や仕事を頑張っていても、報われたのは当初の想定と違う形だった⇒だけど結果オーライ、この道で頑張ろう、ということは良くあります。
映画序盤での観客の期待・想定を良い意味で裏切っているところも憎い演出です。
続編ができるのも納得の面白さでしたので、こちらも是非観てみたいと思います。
外国語を聴く練習
前回の読む練習に引き続き、外国語のリスニングの練習について書きます。
自分のリスニング練習を振り返ると、「好きだったし上手くなりたかったから沢山聴いた」というのが全てです。
何かを聴くだけで喋れるようになったとか、こんな練習をすれば何でも聞き取れるようになる、といった方法は特にありませんでした。
月並みですが、大量に聴くうちに少しずつ聞き取れるようになりました。
ごく普通の学習者の私ですが、今まで使ったものやサービスの中で、特に練習に役立ったなーと思うものをまとめてみました。
- 映画やドラマ
- Voice of America
- Deutsche Welle Langsam gesprochene Nachrichten
- ZDF公式アプリ
小説『深い疵』
初めて小説をご紹介します。
ドイツ発の推理小説です。
舞台はフランクフルト近郊の刑事警察署で、オリヴァーとピアという2人の警察官が主人公です。
オリヴァー&ピアシリーズは本作が3作目。
シリーズの中で最も人気の高いものから日本語訳が発表されたため、本作が日本語訳第1号でした。
あらすじ
米国大統領顧問を務めた著名なユダヤ人の老人が、自宅で射殺されているのが発見され、オリヴァーとピアたちのチームが捜査に着手する。
明らかになったのは、被害者がユダヤ人ではなく、ナチスの武装親衛隊員だったという驚愕の事実だった。
しかしその後、現場に残された謎の数字の意味も、犯人もわからないまま、第二、第三の殺人が発生する。
被害者同士の共通点を探る内に、フランクフルト地域の富裕な老女ヴェーラ・カルテンゼーが浮かび上がる。
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