映画『デッドマン・ウォーキング』1
死刑制度をテーマとしたハリウッド映画のレビューです。
ドラマ『ウォーキング・デッド』とタイトルが似ていますが、内容は似ても似つかない。。。
原作は修道女ヘレン・プレジャンによる同名のノンフィクション小説。
主演のスーザン・サランドンはこの作品でアカデミー賞主演女優賞を、ショーン・ペンはベルリン国際映画賞の男優賞を受賞しています。
死刑囚の姿だけでなく、遺族の処罰感情にも向き合っている作品です。
ネタバレしますので、まだ観ていない方はご注意ください。
- あらすじ
- ヘレンと言う人間
- 死刑廃止論と遺族感情
あらすじ
貧困地区の施設で働くシスター・ヘレンは、死刑囚マシュー・ポンスレットから上告審のための助力を請う手紙を受け取る。
面会したマシューは、死刑執行までに判決を覆すための弁護士を自力で雇えないため、誰かの援助が必要だと言う。
実際に被害者の若いカップルを殺したのは、共犯者カールであり自分ではないのだとも。
ヘレンは、共犯者カールが辣腕弁護士を雇って死刑を免れたことなども鑑み、マシューに弁護士をつけて死刑執行停止の嘆願を申し立てることを決める。
彼女は、遺族からの罵りに動揺したり、マシューの態度に翻弄されつつも、死刑執行停止を目指した法的手続きや、彼の精神面への配慮に尽力していくこととなった。
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小説『神去なあなあ日常』
初めて和書の小説のご紹介をします。
マイルドヤンキーに内定しかけていた横浜の高校生が、中部地方の山奥で林業を営む会社に就職することから始まる物語です。
染谷将太主演で映画『Wood Job!』として映像化もされました。
著者が三浦しをんということもあり、タイトルだけなら知っている人もそれなりに多いのではないでしょうか。
ネタバレしながらお送りします。
あらすじ
高校生活が終わったらフリーターにでもなろうと考えていた平野勇気は、卒業式後に担任から就職先を決めておいたと告げられる。
抵抗も虚しく実家から叩き出された彼は、生まれ育った横浜を離れて三重県内の山奥にある神去村に辿り着く。
そこは、携帯の電波を拾うために電車で村を出なければならないような秘境の地だった。
中村林業株式会社で働き始めた彼は、きつい現場仕事や、世界から隔絶された環境に何度も挫けそうになるが、先輩ヨキの指導や、直紀さんとの初々しい恋を経ながら、徐々に林業人として、村の一員としての自分を見出していく。
- あらすじ
- 少年の成長
- 田舎暮らし
- 仕事が人間をつくる
- 直紀さんとの恋
- おわりに
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映画『潜水服は蝶の夢を見る』
久しぶりにフランス映画のレビューです。
叙情的で内省的な文章と、美しく壮大な映像が惜しみなく綴られる一方、人間味に溢れた主人公のモノローグが印象的な映画でした。
静かに人間の内面を顧みるような作品です。
なお潜水服とは、彼を閉じ込め、自由から隔絶している状態を表現した言葉です。
- あらすじ
- ジャン=ドミニクの目線
- 美しい文章と映像
- 人間味のある言葉
- おわりに
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映画『BIUTIFUL ビューティフル』
久しぶりにスペインを舞台とした映画をご紹介します。
スペイン語の勉強を兼ねて観始めました。
しかし、基本的に抑えた表現が多いので登場人物たちは一様に声が低く、淡々と呟きます。
リスニング教材としてはかなりハードルが高かった。
よって、途中から純粋に映画を観ることに集中しました。
それが正解だったと思います。
「生きる」ことを真摯に描いた秀作です。
- あらすじ
- 大都会を生きる人々
- ウスバルの家族
- 動物たちのカット
- おわりに
あらすじ
バルセロナで暮らすウスバルは、別れた妻との間の子ども2人を養いながら暮らしている。
死者の声を聞いて遺族に伝える仕事、海賊版ブランドバッグの売り子の縄張りを確保する仕事、違法移民の働く場所を斡旋する仕事など、自分と家族の食い扶持を稼ぐためにあらゆる手段を取っていた。
そんな中、自分が前立腺がんで余命2ヶ月であることを医師から告げられる。
仕事は予期せぬ事故によって危機的状況を迎え、精神疾患のある元妻マランブラは、子どもたちへの愛情を持ちつつも頽廃的な生活を改めるつもりがない。
残された時間で子どもたちのためにできるのか、ウスバルは葛藤に苛まれる。
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映画『エスター』
初めてガチホラー映画のレビューをご紹介します。
今までスペインのホラーコメディ『スガラムルディの魔女』以外はホラーの領域に足を踏み入れていませんでした。
好き嫌いなく観ますと いいつつも、ホラーだけは怖くて観られなかったためです。
珍しく苦手なジャンルの映画を観られたと言うことで、記念に書いてみます。
- あらすじ
- 何かがおかしい少女
- 子どもと思えない一面
- おわりに
あらすじ
3人目の子どもの死産から立ち直りきれない夫婦ケイトとジョン。
前向きに傷をいやすために養子を取ろうと決め、施設を訪れたところ、ひとりで絵を描いていた少女エスターと意気投合。
長男ダニエル、長女マックスとの4人家族に、エスターを新しく迎え入れることを決意する。
しかし、大人びて個性的に見えたエスターは徐々に攻撃的で危険な一面を現し始め、ケイトは彼女に不信感を抱くようになる。
ところが、エスターが危険人物であると訴えても夫やカウンセラーは聞く耳を持ってくれない。
焦るケイトを尻目に、エスターはケイトたちを追い詰める計画を着々と進めていた。
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