映画『ジーサンズ はじめての強盗』
邦題で損している珠玉のコメディをご紹介します。
設定は地味かもしれないけど、いろんな人に勧めたいです。
- あらすじ
- オールドブラックジョーク
- 謙虚に教えを請う強盗
- 最期まで見守りたくなる強盗
- おわりに
あらすじ
ウィリー、ジョー、アルバートの3人は、定年後の余生を静かに過ごす老年男性。
若い頃に勤めていた会社からの企業年金で悠々自適の生活を送るはずだった。
しかし、かつての勤め先の再編により企業年金の支払がなくなってしまい、収入を失った3人は経済的苦境に立たされる。
ローンの支払が滞り、娘と孫と暮らす家が差し押さえられる危機が迫ったジョーは、偶然遭遇した銀行強盗を真似て、 大金を奪取しようと他の2人に持ち掛ける。
最初は半信半疑だったウィリーと、断固拒否していたアルバートも最後には合意し、足腰もおぼつかない3人の強盗計画が始まった。
続きを読む映画『バッド・エデュケーション』
スペイン映画の巨匠・アルモドバルの半自伝的映画のレビューです。
抑圧的な寄宿学校で起こった性的虐待と、少年たちのその後をミステリアスに描きます。
「劇中劇と現在の交錯」以降は、核心ネタバレとなるのでご注意ください。
- あらすじ
- 脚本の魅力
- 少年時代の事件
- 劇中劇と現在の交錯
- 満たされない愛憎劇
あらすじ
若くして成功した映画監督エンリケのもとに、寄宿学校の友人だったイグナシオが訪ねてくる。
彼らの少年時代をモチーフとした脚本を持参し、物語の重要な役を演じたいとエンリケに掛け合うイグナシオ。
エンリケは承諾するが、自分の知っているイグナシオと目の前の男が同一人物かを疑い始める。
一方、映画の撮影は進んでゆき、フランコ独裁政権時代のカトリック寄宿学校で、イグナシオが受けた性的虐待について描写されてゆく。
続きを読む映画『インビクタス/負けざる者たち』
1995年ラグビーW杯の、南アフリカ代表のエピソードを映画化した作品のレビューです。
ラグビーの強豪国として有名な南アフリカの代表チームが、新しいスタートを切る国のために勝つべき使命を負っていた背景を描いています。
あらすじ
白人と黒人の長い対立の歴史に終止符を打ち、新しいスタートを切ろうとしていた。
黒人たちを抑圧してきた自覚のある白人たちは大統領府を去ろうとしていたが、マンデラは彼らを引き留め、ともに働こうと訴える。
新しく警護チームに加わった黒人たちとギクシャクしつつも、彼らは人種関係なく仕事をともにすることになる。
また、マンデラは間近に迫ったラグビーW杯で、南アフリカ代表団に絶対に勝ってほしいと激励。
白人と黒人の間の深い溝を埋めるには、白人紳士のスポーツとされるラグビーで、国を代表して勝利する必要があると確信していたのだ。
不調に思われた代表チームだったが、親善試合での勝利と、マンデラ大統領の強いメッセージをきっかけに、次第に優勝への思いを強めていく。
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映画『紙の月』
実在の横領犯をモデルとした邦画のレビューです。
主演の宮沢りえだけでなく、先輩役を演じる小林聡美の演技が素晴らしかったです。
あらすじ
梅澤梨花は多忙な夫と二人暮らしで、以前は専業主婦だったが今では銀行員として働いている。
大人しい性格で、仕事で実績を認められ、少しずつ自信をつけ始めていた。
ある日梨花は、顧客の孫である大学生・光太と恋人関係になるが、学費が工面できないために彼が大学中退しようとしていると知る。
光太に学業を続けさせるため、梨花は顧客の金に手を付けて彼に渡してしまう。
梨花の変化に気づかないまま、夫は海外転勤で中国へ赴任した。
次第に光太に夢中になっていく梨花は、やがて学費だけでなく二人で遊ぶための金までも横領で手に入れるようになっていた。
続きを読むハリウッドを揺さぶるハラスメント問題について
映画好きでもそうでなくても、10月以降のハリウッドのセクシュアル・ハラスメント騒動について見聞きした人は多いと思います。
性的暴力やジェンダーを描いた映画も数多く生み出されている場所で、このような騒動が持ち上がりました。
発端は一つのスクープ記事でしたが、発覚した事態が反響に反響を呼びます。
映画界全体、ひいては他分野のハラスメントにも光が当たることに。
ことの経過と、なぜこのような事態に至ったのかを考察してみます。
- ハーヴェイ・ワインスタインの告発スクープ
- ワインスタインだけではなかった
- ハリウッドだけではなかった
- 被害者が声を上げられなかった理由
- おわりに
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