本と映画と時々語学

書評、映画評、時々語学学習や時事ネタなど書き綴りたいと思います。

映画『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』

ハリウッドのクライムコメディをご紹介します。

米国に実在した詐欺師のエピソードをもとに、レオナルド・ディカプリオ主演で映画化されたお話です。

もう1人の主人公としてトム・ハンクスが彼を追う捜査官役を務めています。

 

あらすじ

高校生のフランク・アバグネイルは、両親の離婚が持ち上がったことにショックを受け家を飛び出してしまう。

すぐに食うに困った彼だったが、パンナム航空のパイロット、医師、法律家などになりすまし、あらゆる職業のプロを演じるとともに、偽造小切手で巨額の金を手に入れる。

一方、アバグネイルの偽造小切手行使に気づいたFBI捜査官カール・ハランティは、彼を執念深く追い続けるもあと一歩のところで取り逃がし続けてしまう。

フランクとカールの逃亡追跡劇は、州も国もまたいで続けられていく。

 

鮮やかすぎる大胆さ

フランクの経歴詐称の手口は鮮やかで、教員、パイロット、医師、弁護士など様々な職業の人間になりすまします。

専門知識がなければ詐称すらできなさそうな職業もありますが、彼は最初、幾らかの知識でパイロットになりすまし、大胆さだけで足りない部分をカバーします。

 医師になりすました時も、卒のない振る舞いと頭の回転の速さだけで、仕事や、恋人の親との会食を乗り切っています。

詐欺師だからといって大人しく慎ましく暮らすのではなく、恋人まで拵えているのが神経の太いところです。

 

彼の振る舞いを見ていると、人間の印象とは如何に少ない情報で作られているか思い知らされます。

地位の高い職業についている振りをして、自信ありげに振る舞うだけで、人間は誰かから信頼されることができる。

また、自分たちが目にしている人間の振る舞いから受ける印象がどれほどあてになるものなのか、という疑問を持たざるを得ません。

 

寂しい大金持ち

 鮮やかな手口で巨額の資金を自分のものにするフランクですが、高校生の時に家を飛び出したので当然独身で、妻や子どもといった自分自身の家族はいません。

1人で次から次へと住む場所や職業を渡り歩いていきます。

言い換えると、本当の彼の人となりを知っている人間は彼の周りに存在しません。

みんななりすました姿の方を信じているためです。

 

なりすましたなりに人を好きになり、看護士のブレンダと恋仲にもなりますが、追われる身であるがゆえに結婚も叶いません。

 ブレンダを好きになったのは本気の恋だったと思います。

最後の方で彼女を見る目が切なく、フランクが本当は若い青二才だということをふと思い出させられますね。

元々家を飛び出した理由が、仲の良かった両親の離婚話だったことからも、人間が好きで寂しがりやな気質だったのでしょう。

 

男の友情

フランクはある年のクリスマスに、自分を追うカール・ハランティへ電話をかけます。

カールからしたら「なめとんのかワレ」という話ですが、フランクは長いこと両親に会っておらず、誰も彼の本当の姿を知らない状況です。

仕事とは言え彼が何をした人物か知っていて、捕まえようと本気で向き合っているカールは、唯一フランクが誰かを把握している人物です。

カールはフランクが、クリスマスにすることもなく自分を追う人間に電話してくる寂しい奴だと看破して言い放ちます。

You have no one else to call!

 

二人の間には、追われ逃げる闘いを続けるうちに奇妙な友情のようなものが生まれます。

特にフランクが若者どころか子どもであり、彼が寂しい人物だと気付いてから。

終盤のカールは本気でフランクを真人間に戻したいと思っているのが伝わってきました。

カールの心配は最後には解決されますが、それまでには州境をまたぎ国境を越えた長い追跡劇が必要でした。

 

おわりに

何よりびっくりなのはこれが実話だということでした。

『世界をだました男』という邦題で原作の書籍が翻訳されています。

こんな詐欺師がいたということも驚きですが、服役後の彼が詐欺防止のアドバイザリーで大成功したというのも驚きでした。

詐欺のアドバイザリーじゃなくて何よりです。

 

もう一人の主要人物カールは後半になるにつれ、FBI捜査官としての本領を発揮し、人生の先輩としての器も見せてくれます。

こんな上司が欲しい。

なおカールは実在の人物ではなく、フランクの更生に手を差し伸べた複数の人物をモデルに描いた登場人物だそうです。

 

原題のCatch me if you canは、Wikipediaによると「鬼さんこちら」にあたる鬼ごっこの決まり文句のようで、タイトルも秀逸ですね。

クライムコメディだけど、ヒューマンドラマの要素もある、味わい深い作品です。

アバグネイルの快進撃と、ハランティとの間の奇妙な絆の両方を楽しめる映画でした。

 

   

 

 

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