本と映画と時々語学

書評、映画評など書き綴りたいと思います。

映画『ジョゼと虎と魚たち』

少し久しぶりに邦画をご紹介します。

関西が舞台で、妻夫木聡演じる大学生と、池脇千鶴演じる足の不自由な少女が主人公の恋愛映画です。

ネタバレしながらお送りします。

 

 

あらすじ

 大学生の恒夫は、ある日近所で老婆が乳母車を押して歩いているのを見る。

乳母車の中には、足の不自由な少女ジョゼがいた。

足が不自由なので乳母車に乗せてもらい散歩をしているのだった。

以来恒夫は、ジョゼの不思議な雰囲気に惹かれて彼女との仲を深めていく。

 

不思議な少女ジョゼ

ジョゼは気が強くて口の悪い女の子です。

顔はよく見れば可愛いけど、身だしなみは決してお洒落ではありません。

それでもだんだんと恒夫は彼女に惹かれていきます。

そして仲良くなっていくと、彼女の好きなものを知ったり、家の改装を手伝ったりして共有するものがさらに増えていきます。

二人の距離が縮まっていく場面は見ていて微笑ましいです。

また、ジョゼの言動はいちいちセンスがあって、つい彼女の動きや言葉を追ってしまいます。

気が強いけど時々女らしさを見せるところは特に、憎いなあと感じさせるポイントです。

 

ほろ苦いラスト

ジョゼと恒夫は、しばらくの間楽しい思い出を作りますが、やがて別れの時がやってきます。

大学生になって自由を手にし、高校生までの人生では想像もつかなかったような選択や、後悔をすることが誰しもあると思います。

一人一人その内容は違うと思いますが、それが恋愛だったと言う人は多いのではないでしょうか。

恒夫の後悔を理解できる人もいれば、理解できないと思う人もいるでしょう。

ただ私は、直感や欲望のままに反応して恋愛したこと自体については、恒夫を責める気になれません。

ジョゼは淡々とその後の人生を歩んでいきます。

その後は交わることのない2人の人生が、若さと恋愛の勢いに任せて交差し、少しの間一緒に笑ったり泣いたりした。

その一瞬を淡々と美しく切り取った映画だと思いました。

 

おわりに

存外に短いレビューとなりました。

文章にして表すのは思いのほか難しかったものの、 観終わった後は余韻が残り、ぐるぐると考え事が頭を回ってしまうような映画です。

妻夫木聡演じる若く愚かな大学生も、全く違和感がなくこの人しかいないと思わせる演技でしたが、池脇千鶴の瑞々しい演技がジョゼの具現化には不可欠だったと感じます。

特に、恒夫とともに外の世界を知る楽しさを実感していく様子が可愛らしかったです。

若い頃からいろいろな作品に出ているので、他の作品のイメージが邪魔してしまうかなと思ったのですが、全然そんなことはありませんでした。

完全にジョゼにしか見えない、カメレオン女優ですね。

最近あまり映像作品に出ているのを見ませんが、またこの人の演技が観たいなと思います。

 

   

 

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