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クリスマスを知るためのドイツ語単語6選

クリスマス間近なので、この時期ゆかりのドイツ語単語と、ドイツの子どもがプレゼントをもらう段取りをご紹介します。 

キリスト教文化圏はみんなサンタクロースからプレゼントをもらうのかと思いきや、英語圏や日本とはかなり違ったイベントが繰り広げられております。

 

 

 

Frohe Weihnachten!(楽しいクリスマスを)

英語で言う merry christmasに当たります。

Weihnachten(ヴァイアナハテン)がクリスマスにあたる単語なので、この時期にドイツに行けばそこらじゅうで見かけると思います。

frohe(フローエ)は楽しいとか嬉しいという意味なので、意味的にも英語と同じ「楽しいクリスマスを」となります。

 

Sankt Nikolaus(聖ニコラス)

ドイツで子どもたちにプレゼントを届ける存在は、Sankt Nikolaus(ザンクト・ニコラウス=聖ニコラス)と呼ばれています。

英語圏、そして日本では、クリスマスイブにサンタクロースが子どもたちにプレゼントを配ります。

しかし、ドイツ語圏では12月6日にザンクト・ニコラウスが来訪します。

そして、子どもの1年間の頑張りを褒めたり、来年もっと頑張ってほしいことを激励したりして、なんやかんやで頑張ったご褒美としてプレゼントを渡します。

一般家庭に訪れたザンクト・ニコラウスの映像を見たことがありますが、カトリックの司教の格好(クリスマス仕様の豪華な衣装)で現れていました。

神妙な面持ちで座る子ども(小学生くらい)を前に、大きな金色のノートを意味ありげに広げ、評定を述べていきます。

「君はこの1年も元気に過ごしたね。友達がたくさんできて、いつも元気に遊んでいて、その明るさはとても大事なことです」などなど。

 

Knecht Ruprecht(黒いサンタクロース)

ただし、悪い子どもを懲らしめるKnecht Ruprecht(クネヒト・ループレヒト)、通称黒いサンタクロースなる人物も登場する場合があるようです。

信仰心がなってない、あるいは素行の悪い子は灰袋で叩いたりするとのこと。

下の写真の左がクネヒト・ループレヒト、右がザンクト・ニコラウスです。

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画像出典:天使に黒サンタに魔物まで!?ドイツのクリスマスはキャラが濃い - NAVER まとめ 

外見としては、単にサンタの衣装を黒っぽくしただけの人の模様。

しかし、12月6日の登場人物には更にパンチの効いたとんでもない奴がいます!

 

Krampus(クランプス)

ザンクト・ニコラウスは子どもたちに、直してほしいところも伝えます。

そのような時、彼が従者として連れてくるKrampus(クランプス)が存在意義を発揮します。

「君は友達に愛されるとてもいい子だね。ただし、授業にあまり集中できなくて、内容をよく聞いていないことがあるから、『そんな悪い子どもは連れて行かねばならない』とクネヒト・ルプレヒトが言っている」

と言うザンクト・ニコラウスの横で、「イェー!」と騒ぐクランプスたち。

彼らは、角を生やした半分獣のような、見るも恐ろしい外見です。

画像出典:同上

完全に悪魔ですね…こえーよ。大人も震え上がるよ。

ザンクト・ニコラウスは更に続けます。

「これからの頑張りで、授業を一生懸命聞き、勉強に励めば、クランプスも君を連れて行かないそうだ。君は頑張って勉強することができるかい?」

子どもが「うん頑張る」と言えばザンクト・ニコラウスがお菓子などをくれて、解放してくれます。

やってることが完全になまはげっていう。

なまはげも「泣く子はいねがー」と威嚇して子どもを泣かし、「泣く子は連れていく」と宣言するものの、親御さんが「この子は我々の大切な子どもなんで、どうかご容赦を!よく言って聞かせて泣かない強い子に育てますので!」というところまでがワンセット。

親のとりなしではなく、子ども個人とザンクト・ニコラウスの約束事になるところが、キリスト教文化圏っぽいです。

 

Christkind(クリストキント)

ザンクト・ニコラウスご一行はカトリックの信仰が起源です。

カトリック教会の腐敗との決別を目指した宗教改革以降、ドイツではプロテスタントの信仰が広まります。

ザンクト・ニコラウスも「カトリック的なもの」として避ける必要が出てきました。

しかし、子どもたちにはクリスマスプレゼントを届けなければならない。

というわけで、新しくプレゼントをもたらす存在としてプロテスタントの子どものために編み出されたのが、Christkind(クリストキント)です。

プロテスタントたるもの、プレゼント授与はキリスト教の原点であるイエスの誕生日にちなむべき、との考えから、クリスマスイブにプレゼントを配る運びとなりました。

大抵は天使のような姿で描かれます。

なお、クリスマスマーケットが有名なニュルンベルク市では、毎年クリストキントを務める女性が選ばれているとのこと。

christkind

画像出典:プレゼントが2回もらえる! 大使館居候ネコに聞くドイツのクリスマス

当初はプロテスタントだけがクリストキントによるプレゼントを習慣としていましたが、だんだんとカトリック教徒もそれに倣うようになりました。

現代では何やかんやで、12月6日のザンクト・ニコラウスからも、12月24日のクリストキントからもプレゼントをもらえる二重取り状態にあるようです。

 

Weihnachtsmann(サンタクロース)

日本人や英語圏の人が思い浮かべる「サンタクロース」は、ドイツ語圏でWeihnachtsmann(ヴァイアナハツマン)と呼ばれています。

プロテスタントが多いドイツ北部地域では、サンタクロースがプレゼントを届けることもあるようです。

なぜか、プロテスタントカトリックとの混住状態が多い南部のほうがクリストキントが活躍している模様。

下のドイツの地図の、青い地域ではサンタクロース、緑の地域ではクリストキントがプレゼントを持ってきます。

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画像出典:Papierpotpourri: Christkindl anstatt Kris Kringle

プロテスタントがクリストキントを作り上げたのに、プロテスタントの多い北部ではサンタクロースが活動し、プロテスタントの少ない南部にクリストキントが生き続けているのは一見奇妙です。

これは、プロテスタントのほうがカトリックよりも「教会離れ」が早くに進んだため、商業的に数々の伝説を混ぜ込んで作られたサンタクロースの受入れが早かったのだろうと言われています。

19世紀に作られたクリスマスソングに「サンタクロースがやってくる」というフレーズが既に登場しているとのこと。

北部ではこの頃、クリスマスイブにプレゼントを持ってくる役はクリストキントからサンタクロースに譲られたとみられています。

同じ19世紀に、カトリック教徒もクリストキントを受容し始めたことから、カトリックの多い南部にクリストキントが生き残るという逆転現象が起きたようです。

 

おわりに

本当はクリスマスマーケット用語も解説したかったのですが、長くなってしまったのでいったん切ります。

書いていたらドイツのクリスマスが懐かしくなってしまいましたが、今は間違いなく極寒でしょうね。

日本も充分に寒いので、皆様も体調を崩さないよう元気にお過ごしください。

 

  

 

きらめくドイツ クリスマスマーケットの旅

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