本と映画と時々語学

書評、映画評、時々語学学習や時事ネタなど書き綴りたいと思います。

映画『きみに読む物語』

ニコラス・スパークス原作の映画『きみに読む物語』のレビューです。

観終わる前は、アメリカっぽい単純お涙頂戴映画なのではないか…と散々な偏見を抱いていたのですが、ところがどっこいラストでは涙してしまいました。

なるべく核心の描写を抑えつつ、いつも通りのネタバレレビューでお送りします。

 

 

あらすじ

ある老人ホームで、認知症の女性に毎日物語を読み聞かせる男性。

女性は自分が誰か、どんな人生を送って来たかを思い出すこともできなくなっていたが、興味深そうに男性の語る話を聞いている。

戦前のアメリカ。

製材所で働くノアは、夏の間だけ家族で町に来ている富豪の令嬢アリーと恋に落ちる。

しかし、将来を心配した彼女の両親によって引き離され、大喧嘩をして別れた後、第二次世界大戦が始まってしまう。

 

幼いが本物の愛

令嬢アリーは、彼女の大学進学を望む両親のもと、毎日外国語や芸術の勉強に励んでいましたが、夏の間に訪れたシーブルックでノアに出会います。

当初ノアは、一目ぼれした彼女に強引あるいは奇怪な手口で迫る変な奴でしたが、

どうにか一緒に過ごすきっかけを取りつけます。

そして、勉強の日々と格式高い親族の中で生きていたアリーに、

思い切り笑ったり、楽しい時間を大切な人と共有する楽しみを教えました。

毎日ノアと遊びに出かける様子を見て、アリーの両親は心配しますが、彼女は意に介しません。

それどころか、いつも取り澄まして感情を表さない母に「本当に父のことを愛しているのか」と詰め寄っていました。

しかし、夏の終わりが近づいたある日、ノアはアリーと両親のけんかを聞いて、

自分とアリーのいる環境が違い過ぎることを実感します。

言い争いの末に2人は別れ、アリーは故郷へ連れ戻されてしまうのでした。

 

それぞれの人生

ノアは別れた後、彼女に手紙を送り続けますが、すべてアリーの母によって取り上げられてしまいます。

そうとは知らないアリーは、戦時中に出会ったハンサムな男性と恋に落ちて婚約。

一方、ノアは従軍して戦地で戦った後、帰還してシーブルックに農場を買います。

アリーが呟いた理想の通りに家を建て、買いたいと名乗り出る人がいても家を売らずにいました。

家の値が吊り上がるのに手放さないノアのことが話題になり、地元紙に掲載されると、

婚約中のアリーがそれを目にしてしまいます。

思い立ってシーブルックに行った彼女は、自分がかつて言った通りの美しい外装の屋敷と、ノアを目にするのでした。

 

真実の愛の終わり

この映画は、認知症の老婦人に読み聞かせをする男性のいる現在と、

ノアとアリーが恋に落ちる戦前戦後の場面を行き来しています。

冒頭から大体想像がつきますが、認知症の女性はアリーで、読み聞かせをしている男性がノアです。

再会した後、彼らがどうなったのかは現在パートで明らかにされます。

米国南部の美しい自然の中で展開する、感受性豊かなノアとアリーの恋愛はとても瑞々しい印象を残します。

その後の再会の仕方もドラマチックでした。

アリーを演じるレイチェル・マクアダムスは、最初の場面ではまだ垢抜けない子どものような雰囲気を漂わせているのですが、

数年後に帰ってきたとき、あどけなくも美しい女性に成長していたのが特に記憶に残っています。

しかし、この映画を特別にしているのは何と言っても年老いた2人の場面でしょう。

感動的なラブストーリーを描いた小説や映画では、

恋が如何に素晴らしく始まったかがしばしば強調されます。

終わり方は描いたり描かなかったりだと思いますが、

如何に悲しく終わったかを描いて美しい悲劇にしたり、

現実的で煩わしい事実(ドラマチックな恋と現実の生活のギャップ)をすっ飛ばして綺麗に仕上げたりと言った流れが往々にしてあります。

この物語は、劇的な恋に落ちた2人の愛が、現実のなかでどんな終わりを迎えたのかを丁寧に描いています。

認知症と言う不可逆な進行を辿る病気に関して、やや科学的でない描写はあります。

しかし、少年時代の恋と、年老いてから直面した現実の場面が結び付けられ、

物語が終盤に差し掛かるところでは思わず涙してしまいました。

恋の始まり方だけで観る側を引き付けるのではなく、

愛が終わりを迎えるときの描写で温かい感動を与えてくれた作品だと思います。

 

主演の2人

若き日の主人公を演じたライアン・ゴズリングは、『ラ・ラ・ランド』でも主演しています。

強いこだわりがある一途な男性と言うところが、セバスチャンとそっくり同じでした。

やけくそで家を売らずにアリーを待っていた彼は、あの日彼女が帰って来なければただの偏屈農場主になっていたところだったけど、

まあそこはフィクションなので置いておきましょう。笑

レイチェル・マクアダムスは前半と後半の垢抜けっぷりが見事でした。

お化粧でかなり印象が変わる女優さんですが、それが上手く活かされていたと思います。

 

おわりに

ここまで温かい感動のあるラブストーリーは、記憶を掘り返してみてもなかなか思いつきません。

恋愛の話となると、ドラマチックに心を揺さぶる作品は色々あったと思うのですが、

満ち足りた涙を誘ってくれる映画は意外と少ないように感じます。

良いことばかり・ドラマチックなことばかりを繋ぎ合わせて感動を演出しようとしても、薄っぺらく感じてしまいますが、

この映画は誰もが人生で直面しうる事態(愛する人が病気で変わってしまうこと)を取り入れて描いたことで、ぐっと魅力が増していました。

恋の映画のみならず、人生の映画としてもおすすめしたい作品です。

温かい感動作をお探しの方に、ぜひ観ていただきたいと思います。

 

     

 

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