ドラマ『情熱のシーラ』
久方ぶりにドラマのご紹介。
スペイン制作の作品で、NHKの海外ドラマ枠で放映されていました。
ヒロインの成長記であり、時代の体験記であるというところから、スペインの傑作朝ドラとも言えるのではないかと思います。
核心部分に触れないようにしつつも、ちょくちょくネタバレします。
《あらすじ》
1930年代のスペイン・マドリッド。
お針子のシーラは母から裁縫の技術を学びながら、人生で初めての恋に落ちる。
恋人イグナシオは将来を約束された相手だったが、ある日情熱的な若者ラミーロに出会い、激しいアプローチを受ける。
シーラは少女らしい情熱に身を任せ、ラミーロを選ぶ。それはスペイン、モロッコ、ポルトガルなど幾つもの国をまたぎながら、スペイン内戦から第二次世界大戦への激動の時代に突入していく、壮大なドラマの始まりだった。
シーラの成長記として
家族との再会や別離、恋人との出会いや別れ、友情、職業人としての成功、祖国のための諜報活動など、激動の何年かを過ごしてシーラは大きく成長します。
ドラマ序盤の彼女は、頭も腕も良いかもしれないけれど純朴で初々しいお針子。生まれ育ったスペインで、母や友人や初恋の人と幸せに過ごしています。
しかし、恋に身を任せてラミーロを選ぶ場面では、彼女を諌めようとする母に毅然とした表情を見せます。
Es mi vida, madre.
私の人生よ 母さん
シーラは決して攻撃的でもやかましくもありませんが、自分の信じたことや大切な相手に真剣に向き合う姿勢を持っています。
また意志が強く、決めたことに対してすぐに行動し、着々と目的を達成していく行動力があります。自身のこうした性格が彼女の成長を積極的に後押ししていきます。
特に自分の工房を持ってからの彼女の仕事人としての成長は目覚ましく、営業や外勤の仕事をしている人には須らく視聴を勧めたいくらいです。笑
ちょっとした話術や機転で、仕事上の人間関係を円滑にしたり、信頼を得たりするヒントがたくさんあります。
こうしたスキルは諜報活動に協力する段になっても如何なく発揮されており、幾度となく修羅場を潜り抜けたり、重要な成果をあげることに成功したりしています。
ちょっとした違いを積み重ねて仕事で抜きん出ることは簡単そうで難しい。
その違いを発揮するにはいつも冷静でいなければならず、いつも冷静でいるには安定した実力がなければならないからです。
シーラの場合、お針子としての能力が確かなものだからこそ、その能力を応用しながら商売人あるいはスパイとしても優秀になれたのでしょう。
デザイン・衣装の美しさ
シーラの成長を示唆することにもなるのが、彼女が着たり仕立てたりしている衣装です。
序盤では綺麗だけども素朴な服が多いのですが、回が進むにつれどんどん華やかで上品な服装になっていき、初々しい少女から立派な淑女に成長するのが見て取れます。
服だけでなく、小物やインテリアもいちいち素敵で、毎回みとれてしまいました。
モロッコやポルトガルの風景も美しく、トータルの映像の美しさという点でも相当なハイスコアを叩き出しているドラマと言えます。
昔行ったリスボンにまた行きたくてたまらなくなりました。そしてタンジールやテトゥアンなど、見たことのないモロッコの町に行ってみたくなります。
情熱が溢れすぎて記事が長くなってしまったので、大河ドラマとしての魅力は次の記事で語りたいと思います。