本と映画と時々語学

書評、映画評、時々語学学習や時事ネタなど書き綴りたいと思います。

映画『デンジャラス・ビューティー』

破天荒な女性エージェントが活躍するコメディをご紹介します。

報われず悪態をつきながらも毎日奮闘している社会人に観てほしい。

 

 

あらすじ

FBIの女性エージェント、グレイシー・ハートは常に捜査の第一線に立ってきたが、仕事一辺倒でお洒落やファッションには興味がない。

そんな中、ある事件の捜査でミスをしたことで、仲間をケガさせてしまい落ち込んでいた。

一方、全米を騒がせている爆弾魔「シチズン」からミス・アメリカ最終選考会での爆破予告が届く。

露骨な警戒態勢は取れないと判断したFBIは、グレイシーにコンテスタントとなって潜入捜査をするよう命じる。

ミスの挽回も兼ねて渋々任務を引き受ける彼女だったが、服も化粧も立ち居振る舞いもミスコンの基準に達していない。

グレイシーを潜入させるため、一大プロジェクトが立ち上がることになった。

 

キレキレのコメディ

コメディの名に恥じぬ笑いどころが随所に散りばめられており、退屈しないこと間違いなしです。

グレイシーのタフさ、賢さと、彼女が苦手なものすべてが詰まったミスコンの世界がぶつかり合い、大胆な不協和音のようなハーモニーのような内容になっています。

男社会の中、身だしなみも、お洒落も気にしてこなかった彼女が、半ば全否定され、徹底的に改造されながら、美しいミス・ニュージャージーに生まれ変わっていく様子は嘆息を禁じえません。

もちろん上手くいかないことも多々ありますが、「仕事だから」頑張るグレイシーの奮闘ぶりも明るく笑わせてくれます。

また、頭脳明晰なグレイシーは、おネエな美容コンサルタントのヴィクター、ミス・アメリカ主催者のキャシーから、女性らしさ皆無なことを詰られても、キレキレの皮肉で切り返します。

黙って改造されているだけでなく、もうひと笑いさせてくれるのが秀逸です。

現実感のなさは、こういう映画である以上諦めてもらうしかありません。

 

見たことのない世界

グレイシーは頭脳もフィジカルも逞しい優秀な女性捜査官です。

今の職場で実力勝負を続けてきた彼女は、ミス・アメリカコンテストのことを「頭が空っぽの女が出るバカ女の品評会」と言って憚りません。

そして、コンテスタントとしてのマナーや心構えを説くヴィクターやキャシーにもたびたび反抗します。

しかし、肉体改造やメイクアップに多大なる戦力が投入され、現状から他のコンテスタントに追いつくために様々な仕込みを受け、

さらに、他州のミスコンを勝ち抜いてきた候補者たちと会って過ごす中で、何かが変わり始めます。

FBIとフィールドは(かなり)違っても、努力を積み上げ、自分との戦いを続けてきた女性たちは、グレイシーが思い描いていたバカ女とは少し違います。

 

新しい気付き

仕事は頼りないけど私生活は遊んでいる、モテる同僚エリックという人物がいます。 

他の同僚と一緒にグレイシーをいじりつつ、何だかよく彼女に助けられている奴です。

ツッコミどころは色々ある男性ですが、意外と素直で優しく、頑張るグレイシーを援護したり、煮詰まっている彼女を励ましたりします。

君は賢い

こわもてだけど面白い

もっと力を抜けばいい

本当の君を知った人は君を好きに

男性社会に適応するべく頑張ってきた彼女に、いきなり女性らしくなれと言ってもそんなん今まで求められてきたことと違うし、

ていうかおっさんたち笑ってるけど、女性らしさを保つことがどんだけ不自然で大変なことかわかってんの?

君たち24時間働きながらスリムで禿げずに肌つやつやでいられるの?

…というフラストレーションが溜まりかけていた女性オーディエンスの気持ちを少しリリースしてくれる一言です。

仕事は頼りないけど、エリックはグレイシーのことを仕事仲間としても女性としても一人の人間としても、ちゃんと見ていてくれたのかなと思える場面でした。

仕事は頼りないけど。

 

おわりに

この映画の原題は“Miss Congeniality”で、「ミス・コンテストなどで、最も親切で一緒にいて楽しかった人として選ばれるタイトル」だそうです。

踏んだり蹴ったりな仕事に奮闘しつつも、想像もしなかったコンテスタントたちとの友情を築いたり、予想外の事件の結末を迎えたり、コメディ以外の要素も楽しい映画です。

グレイシーの奮闘ぶりと鋭い皮肉に笑った後は、「仕事頑張ろう」とまあまあ思えてきそうです。

 

  

 

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