映画『ロシュフォールの恋人たち』
フランスを代表する映画人のドリームチームで作られたミュージカル映画のレビューです。
ハリウッド映画『ラ・ラ・ランド』がオマージュを捧げている作品でもあります。
あらすじ
美しい双子の姉妹・ソランジュとデルフィーヌは、フランスの美しい街ロシュフォールでバレエ教室を営んでいる。
二人はいつか素晴らしい恋人に巡りあいたい、パリで芸術家としての力を試してみたいと夢見ていた。
町でカフェを営み、彼女たちを女手一つで育ててきた母イヴォンヌは、歳の離れた長男ブブを育てている。
ブブの父親は双子姉妹も知らないが、イヴォンヌにとって忘れ得ぬ恋人だった。
彼女たちの住むロシュフォールは一年に一度の祭りを控え、祭りに参加する人々や、演習に来る海軍の軍人たちで賑わい始める。
その中には、新しい恋を求める青年ビルとエティエンヌや、唯一無二の理想の女性を探す水平マクサンスもいた。
名作ミュージカル
この映画は、フランスを代表するミュージカル映画『シェルブールの雨傘』を作り出したジャック・ドゥミ監督、音楽家ミシェル・ルグラン、女優カトリーヌ・ドヌーヴが再結集したミュージカルです。
映画は知らなくても、メインテーマの曲をどこかで聞いたことがある方は多いはず。
日本国内でも何度かCMソングに使われています。
『シェルブールの雨傘』では一言一句すべて歌い続けていましたが、『ロシュフォールの恋人たち』では歌ではない台詞もまあまあ入っています。
主演のドヌーヴと、その実姉フランソワーズ・ドルレアックだけでなく、他にもフランスを代表する俳優が多数出演しています。
当時のフランス映画界の大御所が集まりに集まった作品と言えるでしょう。
映像の美しさ
前項の動画からも見て取れるのですが、どの場面を切り取っても、登場人物たちの鮮やかな色の衣服が複数並べられ、観ていて楽しい色使いとファッションになっています。
ジャケット写真の双子姉妹を始め、ビルとエティエンヌもしばしば対比した色を纏って登場していました。
また、マクサンスの水兵の制服は白なので誰と並べても映えますし、ダム氏の白を基調とした店もまた然りです。
『ラ・ラ・ランド』がこの映画へのオマージュとして、顕著に表現している部分でもあります。
そして、ロシュフォールの開放的で美しい街並みも、映像を特に華やかにしています。
イヴォンヌのカフェがあり、お祭りのメイン会場にもなる広場の様子は、いつ見ても明るい海辺の町の雰囲気を象徴しているようです。
遠くて近い様々な恋模様
ヒロインのソランジュとデルフィーヌは、いつか素敵な男性に逢いたいと思いつつ、映画序盤ではその相手を見つけていません。
小さなロシュフォールの町からパリへ出て、広い世界で挑戦したいと思っています。
彼女たちの母イヴォンヌ、水兵のマクサンス、楽器店主のダムも、様々な人たちがロシュフォールで理想の恋や運命の相手に思いを馳せています。
それぞれの思いはすれ違ったり、交錯しながら結末へと向かっていき、全員が何らかの決着をつかみ取ることになります。
複数のストーリーラインが絡んだり離れたりする様子が絶妙で、あの人とこの人はどうなってしまうのか、この人は目指している人に会うことができるのかなど、常に気になってしまう展開でした。
また、途中で出奔してしまう10代と思しき少女たち、20代の双子姉妹たちの他にも、3人の子どもを持つイヴォンヌ、キャリアを確立した年代のダム氏など、様々な世代・立場の人物が登場します。
それぞれの人物が恋や人生に対する思いを語っており、愛や恋を色々な面から描き出した映画だと言えます。
おわりに
今年はフランス映画を強化するぞと思いつつ、なかなか観られておらずようやく1記事完成となりました。
本作を観てみて本当に良かったと思うのは、ミュージカルの楽しさ、映像の美しさ、ストーリーの巧みさ、すべて味わえる贅沢な映画だったという点です。
映画ってほんっとにいいもんですね!と心から言いたくなる作品の一つでした。
楽しいミュージカルが観たい、美しい映像が観たい、素敵なラブストーリーが観たい、そのすべての希望を叶えてくれる映画です。
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