本と映画と時々語学

書評、映画評、時々語学学習や時事ネタなど書き綴りたいと思います。

小説『悪女は自殺しない』

『白雪姫には死んでもらう』に引き続き、オリヴァー&ピアシリーズをご紹介します。

ドイツの本格ミステリーシリーズの第1作ですが、日本語訳はこれが3作目となります。

シリーズで最も人気の高い第3作、第4作目が先に邦訳されたためです。

原題は"Eine Unbeliebte Frau"で、直訳すると「好かれない女」「いけ好かない女」と言ったところです。

 

 

 

あらすじ

休職から復帰して間もない刑事ピア・キルヒホフの元に、高名な上級検事が飛び降り自殺をしたとの一報が飛び込んでくる。

ほぼ時を同じくして、飛び降り自殺に見せかけて殺されたと見られる若い女性イザベルも発見される。 

イザベルは馬などの安楽死に使う薬物を投与されていたため、疑いは夫である獣医師とその周囲の人物に向けられた。

ピアと、ホーフハイム刑事警察署に赴任してきた警部オリヴァー・フォン・ボーデンシュタインは、イザベル殺害について捜査を始める。

イザベルの夫の動物病院や、彼女の出入りしていた乗馬クラブで聞き込みが行われるが、すぐに2人は彼女の異様な嫌われぶりに驚かされることになる。

 

惜しまれない被害者

イザベルは夫への愛がないのに結婚したと囁かれ、夫の友人たちからはひどく嫌われていました。

 乗馬クラブでは馬術の達人でしたが、良くない噂が多すぎて全く好かれていません。

 さらに、イザベル本人のみならず、乗馬クラブ経営者、運送会社の暴力社長など、怪しい人物が次々と登場します。

登場人物が多くて頭の整理に時間がかかるのは否定できませんが、ストーリーの緻密さと、真相や犯人を読者に突き止めさせない展開はさすがネレ・ノイハウスと言ったところです。

 

オリヴァーとピア最初の事件

『深い疵』や『白雪姫には死んでもらう』を一緒に解決したオリヴァーとピアが初めて一緒に働いた事件です。

やや緊張感の残るピアと元夫の関係、ピアとコージマの対面など、既に他の二作を読んでいる読者からすると「へえー」と思う場面が続きます。

『白雪姫には死んでもらう』で受難の時を迎えたオリヴァーが、二十歳そこそこの美女に「いいなあ」と思わされたり、捜査官たちの人間味のある描写は第1巻からキレキレだったことがわかります。

 

おわりに

 本作はネレ・ノイハウスが自費出版した作品です。

 出版社の手が入っていないからなのか、ストーリーは少し込み入っていて理解しづらいかもしれません。

その理由の1つは、前述の通り登場人物が多いと言うことでしょう。

『深い疵』や『白雪姫には死んでもらう』を先に読んでいる人にとってはやや読みづらい印象が残るかと思います。

自分だけがそう感じたのかなあと思いましたが、他の方のブックレビューを見ているとみた感想を持った人が多かったようです。

しかしながら主人公2人の愛すべきキャラクターは一作目から健在ですし、人間描写のリアルさと言うノイハウスの強みも如何なく発揮されています。

シリーズの他の作品と同じように、本格ミステリーをお探しの方にお勧めできる1冊となっています。

kleinenina.hatenablog.com

 

 

 

悪女は自殺しない (創元推理文庫)

悪女は自殺しない (創元推理文庫)

 

 

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