本と映画と時々語学

書評、映画評など書き綴りたいと思います。

映画『インスタント沼』

今週のお題「私の沼」

 

 訳がわからないけど元気になれるコメディ映画をご紹介します。

タイミングよく今週のお題とリンクする映画だったので、意気揚々とレビューを書いています。笑

ここ数年で観た邦画の本数が少ないので、レビューの材料が底をつくのも時間の問題ですが、ひとまず書けるもんは書いてみます。

結構な豪華俳優陣で、1分に1回以上笑わせにくるコメディを作っているのが壮観です。

全員ハマり役。

 

 

 あらすじ

出版社でパッとしない雑誌を受け持つ沈丁花ハナメは、目に見えない存在は幽霊だろうと妖怪だろうと信じないリアリスト。

ジリ貧の毎日を過ごしていたが、ある日ついに担当雑誌が廃刊となる。

それ以外にも、母が事故に遭って意識不明になるわ、自分の本当の父親はかつてそうと思っていた人物と別人だと判明するわで波乱万丈。

思い切って本当の父だという人物に会いに行くが、彼のワイルドな風貌と、彼が開業している怪しげな骨董店にドン引きする。

 

 個性豊かすぎる登場人物

はっきり言って、個性の薄い登場人物が1人もおらず、ヒロインの沈丁花ハナメからチョイ役まで、全員が全力で記憶に残りに来ています。

沈丁花ハナメは、突然踊り出したと思ったら「暑…」と数秒で断念したり、心機一転するためだけに家じゅうの品物を便利屋に引き取らせたりと、コミカルかつエキセントリックなヒロインです。

オカルト的な存在を信じず、時々カッパが庭にいるとのたまう母から「たまにはそういうものの存在を見ようとしなさい」と苦言を呈されています。

この苦言も最初、趣旨がよくわかんないのですが。

 ハナメは基本自分の気持ちに素直に生きている人物なので、観ていて爽快です。

うじうじすることもなく、雑誌が廃刊になると即退社し、心機一転を図ります。

 

 ハナメ、その母、電球のおっさんなど、沈丁花家の面々は大概エキセントリックですが、親族以外で最も印象的なのは加瀬亮さん演じる賀須(がす)君です。

 まずビジュアルがね。

パンクですね。

 

三木監督の手にかかれば加瀬亮もこの通り

 画像は映画.comよりお借りしました。

インスタント沼 インタビュー: 手抜きなしのこだわり!三木聡監督が明かす「インスタント沼」裏話 (2) - 映画.com

 

地元で就職し、地元を愛するマイルドヤンキーなる種族が存在しますが、彼の場合は外見からしてマイルドさのかけらもありません。

しかし、電球のおっさんの大芝居に付き合ってあげたり、泣きわめくハナメの要求に応えてあげたりと、とても良いやつです。

電球のおっさんやハナメから、

「パンクのくせにオムライス食ってんじゃねーよ!」

「パンクのくせに常識とか言うな!」

と好き勝手言われてもさらりと流せる大人な人物でもあります。

 

カメレオン俳優陣

麻生久美子さんは美人なのにドラマ『時効警察』や本作のようなガチコメディも軽やかにこなしています。
それでいてドラマ『チェイス国税捜査官~』では、シリアスで幸の薄そうな役を務めたりしていて、カメレオン女優のイメージが強いです。

加瀬さんもシリアスな役からドラマ『SPEC』のようなコメディ要素ありの役までこなすオールラウンダー演技人。

ハナメの母は松坂慶子さん、電球のおっさんは風間杜夫さん、和歌子さんは相田翔子さんと、他も豪華メンバーです。

人を泣かせる作品よりも、笑わせる作品を作る方が難しいと言われますが、盤石の俳優陣で固められたコメディが面白いのを観ると、その通りかもしれんなあと思います。

少なくとも、実力派俳優さんの演じるコメディを観るときは余計なところが気になることもなく、心からストーリーを楽しめると感じます。

 

ハナメの人生と不思議なものごと

ハナメは幽霊や妖怪を一切信じませんが、自分がジリ貧な理由だけは、昔沼に沈めてしまった招き猫の呪いではないかと思っています。

沼の行方は終盤までわかりませんが、ハナメの人生は徐々に風向きを変えていきます。

たとえジリ貧でも悲壮感に浸らず、ハナメみたいに前向きに乗り越えていきたいところです。

 

おわりに

笑って元気になれる邦画の筆頭格です。

余談ですがロケ地は神奈川県内が多かったようで、途中いくつも「これ絶対神奈川じゃん!」と思う場面がありました。

ハナメの家や、電球のおっさんの骨董店は神奈川県です。

小ネタや日本のコメディが好きな方にはたまらない作品だと思いますので、ぜひとも元気を出したい時にご覧になってみてください。

 

  

 

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