本と映画と時々語学

書評、映画評など書き綴りたいと思います。

映画『ボーン・アイデンティティ』

 ハードボイルドな王道スパイ映画をご紹介します。

アクションに分類されそうなものを書くのは初めてかも。

 

 

あらすじ

 ある嵐の夜、地中海で意識を失って漂流していた若い男性がイタリアの漁船に保護される。

彼は自分の素性に関わる記憶を一切なくしており、身体に埋め込まれたチップにある銀行口座の情報だけを手掛かりとしてスイスに向かう。

理由もわからないまま彼は追われる身となるが、自分がジェイソン・ボーンという名前を使っていたことを探り当てる。そして、偶然逃亡の現場に居合わせることになった女性マリーとともに、正体のわからない敵と戦いながら逃避行を続けることになる。

本作の後、『ボーン・スプレマシー』『ボーン・アルティメイタム』の二編が制作されシリーズ化している。

 

 

王道のかっこよさ

もっと早くに観れば良かった。名作名作と言われてたのに、アクション映画だからと見くびってました。

緊張感がずっと続いて2時間があっという間です。

あらすじだけを読むと、米国の国家保安組織の何らかのエージェントがあれやこれやする陳腐な話にしか見えません。

1つ1つの要素が王道的かっこよさに仕上げられているので、結果としてオーソドックスな内容かもしれないけどクオリティの高さに評価を受けているんだと思います。

一言で言うと王道ハードボイルドアクション映画。

とりあえず、冷静沈着でタフでマルチリンガルであらゆる知識を持っていてどんな状況にも対応するボーンがとてもかっこいいです。

偶然や奇跡に助けられ続ける安っぽい展開は嫌、という人にこそお勧めしたいハードボイルドクオリティ。

乱闘、銃撃戦、カーチェイス、頭脳戦と、スパイ映画の主な要素をフルスロットルで高品質に仕上げています。

スピード感もいいので、観ているうちにボーンのファンになってしまった人が沢山いることでしょう。

自分の強さや能力に驕っている様子が全くなく、自身の正体が何者かについて苦悩している様子もまた、ハードボイルドさに拍車をかけます。

どうでもいいけど主演のマット・デイモンは恐ろしくワークアウトしてそう。

 

旅の仲間マリーとニッキー

偶然から行動をともにすることになったマリーは、特別な能力もなく、頭が良いわけでもなく、まっとうで高潔な大人に見えない部分もあります。

演じてるフランカ・ポテンテには失礼だけども、現実離れした美貌というわけでもなく、守ってあげたくなるような可憐さもない。

弱々しい人や目立ち過ぎる美人だとそもそもボーンの逃避行についてこられないのでちょうど良いかも。

そこがまた安っぽくなくて良かったりします。ドイツが誇る実力派女優。

ボーンと逃亡するうちに絆ができて、唯一無二の存在になります。王道だけど許せちゃう感じ。

 

3作目のネタバレをします。

 

ロマンス要素が控えめなのがハードボイルドで良いところですが、3作目『ボーン・アルティメイタム』では彼が記憶を失う前に知っていたと思しき女性に出会います。

おそらく同じ年頃の女性ニッキーです。

成り行きでボーンに協力することになりますが、本来なら命の危険があっても協力は許されない立場です。

苦悩するボーンに共感し、多分この人は彼とそう言う関係にあったのかなと思わせる一言を呟きます。

でも、感動の再会シーンになったり、2人で追っ手から逃げることを選んだりはしません。

生き残るためにそれぞれの道に逃げます。

ボーンの精神衛生を心配するいちファンとしては、素敵なパートナーと会って一緒にいてほしいのですが、如何せんハードボイルドなので致し方ありません。

はあ。

 

まとめ

続編やそのまた続編ができてしまうのも納得のかっこよさでした。

ボーン・スプレマシー』や『ボーン・アルティメイタム』でも主人公に容赦ない魔の手が伸び、息つく間がありません。

手に汗握りながらボーンを応援し続けたくなる映画です。

ボーン・アルティメイタム』終盤では戦闘が激しすぎて「これじゃ主人公なのに生き残れないかもしれない!頼む!無事に生き残ってくれ!!」と祈り続けました。

終わり方もどれもかっこよかったです。

個人的にマルチリンガルへの憧れが強いので、ボーンが行く先々のヨーロッパの国で現地語を喋っているところが高ポイントでした。

英語のほか、ドイツ語、ロシア語、スペイン語、フランス語などを話している描写があります。

 

 

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