本と映画と時々語学

書評、映画評など書き綴りたいと思います。

映画『メラニーは行く!』

ハリウッド映画のご紹介です。

内容に合ってて良い邦題だと思うのですが、原題のSweet Home Alabamaも名タイトル。

 

 

あらすじ

NYでファッションデザイナーとして成功を収めたメラニーは、毎日仕事に追われながらも華やかで充実した日々を過ごしている。

ある日彼女は交際相手である議員の息子からティファニーの婚約指輪を贈られ、プロポーズを受ける。

誰もが憧れる状況に身を置く彼女だったが、故郷には昔結婚した夫がいた。

メラニーは新しい生活を始めるため、現夫と離婚しようとアラバマ州の実家に帰省する。

 

こんな時におすすめ

スカッとするラブコメが見たい、

前向きな気持ちになりたい、

という時にお勧めです。

ヒロインのメラニーの前向きなキャラクターが映画全体の雰囲気を明るくしてます。

また、メラニーが現在暮らすNYと、故郷のアラバマの田舎を壮絶なまでに対比してネタにしています。

田舎ののんびりした雰囲気や、クローズドコミュニティの団結力を楽しめます。

 

みどころ

メラニーが離婚交渉に訪れると、現夫のジェイクは了承せず抵抗します。

そりゃそうだ。あっさり応じたら映画終わっちゃうので。

目的を達成するまでメラニーは帰れないので、しばらく故郷ピジョン・クリークに滞在。

ジェイクとの過去を回想したり、昔と違ってばっちり所帯じみた同級生たちに対面したりします。

ジェイクとはお互いに好きだったから結婚したわけだし、若いころの麗しい思い出も沢山あります。

また、NYへ旅立つ頃に諦めたものを思い返したり、

自分が出て行った後にジェイクがどんな気持ちでいたかを知らされたりします。

 

大都会に出たメラニーが故郷とのギャップを感じる印象的な場面が、銀行に行く場面です。

お金をおろしたいけどATMがなくて窓口に行くメラニー

窓口にいたのはかつての同級生で、帰省してきたことが即バレます。

ここまでで既に充分田舎の恐ろしさが感じられます。

彼女の所帯じみた会話に付き合いながら、「ATMはないの?」と訊くと、「ああ、あれね。うちは客とのふれあいを大事にするから」と返ってきます。

とりあえずATMはないし、アラバマの銀行の接客が異様にハイレベルなことが伝わりました。

 

少年少女時代を過ごした場所と、大人になってから暮らした場所が違う人は、たくさんいる。

でも、2つ以上の場所で、全く同じ顔を持って生きている人は恐らく少ないのではないかと思います。

故郷を離れていた時間が長ければ長いほど、自分の現状とのギャップは大きく戸惑います。

かつては同じ教室で学んでいた同級生ともバックグラウンドが変わってきます。

でも、それも明るく乗り越えてるのが良いです。

 

アメリカ南部と北部について

メラニーのお父さんは南部連合と呼ばれるサバゲーに興じています。

アメリカ南北戦争は、NY州などを始めとした北部と、アラバマ州などを含む南部との間で行われた内戦です。

同時多発テロまで外国からの攻撃を受けたことがなかったアメリカ本土が、唯一戦場となったのが南北戦争です。

その南北戦争を模してサバゲーするらしい。

懐古主義なのか、男のロマンなのか、南部人に生まれた誇りなのか、みんな楽しそう。

 

南北戦争を題材とした作品としては、小説『風と共に去りぬ』があります。

読んだとき、戦中から戦後にかけての南北対立の激しさが衝撃的でした。

奴隷解放の受け止め方が南部人と北部人で全然違ったり、

南部が敗北した後の北部による圧政が厳しかったことなどなど。

もちろん現代ではあからさまな対立はありません。

が、今でもうっすらと「鼻持ちならない都会人の北部」「田舎者だけど熱い魂を持った南部」と言ったステレオタイプは生きているのかなと感じました。

北部ニューヨークと、ピジョン・クリークとの間には、単に都会と田舎というだけでなく、北部と南部という対比もあったわけです。

これが終盤の「南部の勝利だ!」発言につながるんですねー。

 

まとめ

都会に慣れてしまった人が田舎に再適応できるのか?という疑問は残しつつも、やっぱり故郷いいわーとなってるメラニーを見るとめでたしめでたしと思えました。

メラニーと離れてしまった後のジェイクが、くさらずに仕事の実績を着々と積み重ねていたところが憎いなーと感じてしまいました。

好感度高すぎる。

世の中にもっとこんな楽しいコメディが沢山あれば良いのになと思える映画です。

 

   

 

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