本と映画と時々語学

書評、映画評など書き綴りたいと思います。

映画『鴨川ホルモー』

久々に邦画のご紹介。

原作の小説も好きです。

 

 

あらすじ

二浪の末、晴れて京都大学に合格した安倍。

気づけば新歓ラッシュも終わってしまったが、葵祭のエキストラのアルバイトからの帰り道でサークルの勧誘を受ける。

残り少ない新歓のチャンスと思いコンパに参加しただけのはずだったが、何やかんやでそのサークルに加入してしまう。

しかし、そのサークルとは京都の四大学で小さな妖怪を使った戦い「ホルモー」を繰り広げる京大青竜会だった。

 

奇想天外なあらすじですが、ファンタジーとしてのみならず大学青春ドラマとして成立しているので心配は要りません。

 

同級生の面々

主人公の安倍は、二浪という以外は普通の享楽的な大学生で、物語の語り手です。

極度の鼻フェチで、同じ新入生で憧れの人・早良さんに近づくべく京大青竜会に入ります。

山田孝之が外さない演技を見せています。

 

安倍の親友となる高村は、お洒落じゃないけど帰国子女です。

穏やかで、血の気の多い芦屋と何かと対立する安倍を宥めたり、ナイーブなところもあるけどとてもいいやつです。

 

芦屋は同級生の中でリーダー的位置に立とうとしている血気盛んな新入生です。

たぶん意識高い系です。

飄々とした安倍と何かと気が合わず、悪人ではないけど悪役の立ち位置にいます。

 

華やかな早良さんと対極に位置するのは、大木凡人みたいな髪型をした楠木ふみ。

無愛想で何を考えているのかわかりませんが、終盤に意外な一面が明らかになります。

栗山千明みたいな美人にこんな役できるの?と思ってましたが、楠木を演じている間は見事なまでに美人オーラゼロです。

あんな整った顔の人からも華を取り去ってしまう凡ちゃんヘアーと眼鏡の破壊力。

 

高村と楠木(凡ちゃん)に関してはこんな奴いないだろ!と言いたくなりますが、安倍と芦屋については大学生あるあるが詰まっていると思いました。

安倍のさだまさし傾倒ぶりは特徴的ですが。

早良さんの前で突如語り始めちゃうところは名シーンの1つでしょう。

 

 みどころ

小ネタや意外な展開が面白いので、内容について詳しくは書かないことにしたいと思います。

個性豊かな京大生たちの掛け合いを楽しみつつ、京都大学立命館大学京都産業大学龍谷大学、ホルモーの試合の展開を見守っていただければと思います。

大学対抗戦的なイベントで目を血走らせる奴いるよね…社会人になっても…と芦屋を見ながら思ってしまいました。

京大青竜会は、妖怪を率いて試合をするサークルであることは新入生には明かさず、加入してしばらく経ってから告知するスタイルです。

毎年不思議と部員が集まるそうですが、一応逃さないためなのか

「我々は普通のサークルです」

「普通のサークルです。ごく普通の。ありふれた」

を繰り返す姿に笑ってしまいました。

普通じゃないよ。

普通のサークルはそこ強調しないよ。

 

あとは、背景に映る京都の町並みが素敵です。

各種お祭りの雰囲気も華やかで、それぞれの場面を盛り上げています。

 

爽やかに笑いたいなー大学生コメディ楽しみたいなーというときにお勧めです。

原作の小説は映画以上に小ネタが仕込まれていますので、映画が気に入った方はぜひ原作や、番外編短編集の『ホルモー六景』もご覧ください。

 

 

鴨川ホルモー (角川文庫)

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