本と映画と時々語学

書評、映画評など書き綴りたいと思います。

映画『プリティ・ウーマン』

痛快なシンデレラストーリーをご紹介します。

マイ・フェア・レディ』を下敷きとしたロマンチック・コメディです。

 

  • あらすじ
  • 2人の変化
  • 元ネタへのオマージュ
  • おわりに

 

あらすじ

ウォール街で働くエドワードは、巨額買収案件のため西海岸を訪れる。

退屈なパーティを抜け出して偶然出会ったコールガールのビビアンに声を掛け、ロサンゼルス滞在中の6日間話し相手をしてくれるよう依頼する。

派手な格好や振る舞いから、高級ホテルやブランドショップで蔑みの目を向けられてしまうビビアンだったが、品のある女性になるスキルを身につけて行く。

そして、エドワードとビビアンの距離も次第に変化して行くのだった。

 

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映画『ヒトラーの贋札』

ナチスが企んだある作戦を下敷きにした物語をご紹介します。

イギリス経済の混乱を狙ってポンド紙幣の贋作を製作した「ベルンハルト作戦」では、強制収容所内のユダヤ人が動員されていました。

本作は高い評価を受け、アカデミー賞外国語映画賞を受賞しています。

ところどころネタバレします。

 

  • あらすじ
  • 生きることと正義感の狭間
  • 人間が人間たりえること
  • おわりに

 

あらすじ

 贋作づくりを生業とするユダヤ人のソロヴィッチは、ある日ゲシュタポに捕らえられザクセンハウゼン強制収容所に送られる。

最初は強制労働に従事していた彼だったが、絵を描く能力に目をつけられ、やがて画家としての仕事を請けるようになる。

そしてある日、彼以外にも何人かのユダヤ人が集められ、ポンド紙幣の贋札造りを言い渡される。

イギリス経済を混乱させることを企図して画策されたベルンハルト作戦の始まりだった。

生死の境をさまよう強制労働から逃れた彼らだったが、ユダヤ人を滅ぼそうとする敵に手を貸すことに、ブルガーを始めとする面々は苦悩することになる。

 

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映画『恋する惑星』

映画史に残る香港映画をご紹介します。

香港ひいてはアジアを代表する映画人、ウォン・カーウェイ監督作品のレビューです。

オレンジさん(id:mata1)や、id:Reiko_NBさんが以前コメントで言及してくださった作品なので「よっしゃー」と思って記事にしたくなった次第です。

割とネタバレしています。 

 

  • あらすじ
  • スタイリッシュだけど人間的
  • 大都会だからこそ起こること
  • 前半と後半で違う味わい
  • おわりに

 

あらすじ

明日恋人になる相手と、今日すれ違っているかもしれない。

香港の巨大雑居ビル、重慶大厦には今日も様々な人物が行き交う。

恋人に振られた警官223号・モウは、手当たり次第女性に電話を掛けたりと、やけくそになっていたところで、謎めいたブロンドの美女に出会った。

一方、スチュワーデスの恋人と上手くいっていない警官663号は、ビル内の小さな食品店の店員フェイと出会う。

刹那の恋が、あらゆるものの行き交う香港の風景の中で始まっていく。

 

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映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』

フィッツジェラルドの短編を基にした映画をご紹介します。

大物主演2人の演技が心に残る作品です。

核心部分はネタバレせずにお送りします。

 

  • あらすじ
  • 若返る人生でも変わらないこと
  • 若返る人生の苦しさ
  • 人生の素晴らしさとは
  • おわりに

 

あらすじ

ハリケーンが近づくニューオーリンズの病院の一室で、死の床に伏す老婦人が娘キャロラインに日記の朗読を頼む。

日記には、ベンジャミン・バトンという男性の人生が綴られていた。

第一次世界大戦終結した日に生まれたベンジャミンは、父の手によって近隣の老人福祉施設に置き去りにされる。

施設の経営者夫婦に拾われた彼は、老人のように皺だらけで、関節も弱く、長くは生きられないと思われていた。

しかし、ベンジャミンは年とともに若返り、様々な場所で多くの人に出会いながら人生を送っていくこととなる。

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映画『マンデラの名もなき看守』

アパルトヘイト政策下の南アフリカ共和国で、実際にマンデラの看守を務めた人物が主人公の映画をご紹介します。

細部までは明かさないように気を付けつつ、大筋でネタバレします。

 

  • あらすじ
  • マンデラ収監前の経緯
  • ジェームズの変化
  • グループ同士から人間同士へ
  • おわりに

 

あらすじ

南アフリカの刑務官であるジェームズ・グレゴリーは、͡コサ語を理解できることを買われてネルソン・マンデラの監視を命じられる。

この任務のためにジェームズは家族とともに、マンデラ終身刑に服するロベン島に赴任した。

当初、マンデラは死刑に処されて当然だと考えていたジェームズは、生身のマンデラを目にし、彼の威厳ある態度に触れてからその印象が変わり始める。

ある日、マンデラの息子の訃報を知ったジェームズは、誰も守っていない所内規程に沿って、彼に忌引き休暇を与えた。

以後、マンデラとジェームズは人間対人間としての交流を重ねていく。

実在の刑務官ジェームズ・グレゴリーの手記を映画化した作品。

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