映画『日の名残り』
人生の回想を軸とした、カズオ・イシグロ原作の映画をご紹介します。
原作の小説も読了していますので、そちらも意識しながらレビューを書きました。
ネタバレでお送りしています。
- あらすじ
- 仕事に人生を捧げた主人公
- 一人称の回想
- 回想に付随するテーマ
- おわりに
あらすじ
英国の美しい田舎にあるダーリントン・ホールには、この邸宅に長年使える執事のスティーヴンスがいる。
彼は、屋敷の新しい主人が与えた休暇を利用して、かつての仕事仲間であったミス・ケントンを訪ねることにした。
一人旅の道中で彼は、かつての主人だったダーリントン卿が第二次大戦前夜に開戦阻止のため奔走していたことや、ミス・ケントンとの思い出を回顧する。
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映画『モンスター』
実在した連続殺人犯であり、娼婦であった女性アイリーン・ウォーノスの半生を描いた映画です。
絵に描いたような美人のシャーリズ・セロンが大幅に体重を増やして殺人犯役に挑戦したことが大きな話題を呼びました。
彼女は本作でアカデミー主演女優賞を受賞しています。
ネタバレでお送りします。
- あらすじ
- アイリーン・ウォーノスという人物
- モンスターは最初からモンスターだったのか
- 踏みつけにされた女性性
- 誰がモンスターを生んだのか
- おわりに
あらすじ
娼婦のアイリーンは、ある夜偶然出会ったレズビアンのセルビーと恋に落ちる。
互いに好き合っているセルビーと一緒に過ごす金を稼ぐため、アイリーンは売春をしていたが、ある時暴行してきた客を殺してしまう。
売春以外の仕事を得ようとするも上手くいかず、収入がないことをセルビーに詰られたこともあり、結局は娼婦に戻ることになる。
しかし、理性の箍が外れていった彼女は何件も殺人を重ねていってしまう。
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ブログについて4
7月が終わりましたので、ブログについてまとめてみます。
7月の数字
7月のPVは、ひそかに目標としていた7500を超えることができました。
何度かはてなブックマークからの流入を獲得した記事があったようで、それらが貢献しての数字となりました。
また、7月31日時点で読者登録いただいている方の数は、140名以上となりました。
こちらも、前月末から40人ほど増加ということで嬉しい結果です。
記事総数は130を超えました。
これからも読んでいただける記事を少しずつ書いていきたいです。
ご紹介いただいた方々
7月は、3名の方にご紹介をいただきました。
ありがとうございます。
フランス映画の知識が少ないので、ニール・スキナードさん(id:lynyrdburittoさん)の記事の知識量に圧倒されています。
『シェルブールの雨傘』で好きになったドヌーヴの出演作品が沢山紹介されていましたので、それを観ていつか新たなレビューを投稿できればと思います。
ブックマークの多かった記事
7月は10以上のブックマークを頂いた記事が複数ありました。
最多は『ガタカ』の20ブックマーク。
SF映画のレビューは現時点でほとんど書いていませんが、今後も印象的な作品をまたご紹介できればと思います。
次点は『硫黄島からの手紙』の19ブックマーク。
スターはこちらの方が沢山いただいていました。
kleinenina.hatenablog.com
3位はドラマ『リベンジ』の17ブックマーク。
これまで全く人と感想を話したことのないドラマでしたが、コメントやブックマークを頂けて嬉しい驚きでした。
このほか、『道』が12ブックマークをいただきました。
ありがとうございました。
更新作業について
一日ほど途切れましたが、ほぼ毎日更新と言うルールは概ね守れました。
ただ、進めようと思っていたリライト作業が思うように進まず。
仕事柄、家におらずPCで作業できない日が多いため、更新作業で精一杯というときが長いです。
あまり文章の内容は変えず、体裁を整えるくらいですが、少しずつでも進めていきたいです。
映画『奇人たちの晩餐会』
フランス発のシュールなコメディ映画をご紹介します。
「パリジャンは嫌な奴」というステレオタイプを全力で体現したかのような人物が主人公です。
あらすじ
パリの出版社社長ピエールは、友人数人と、奇人変人を見つけては晩餐会に招き、その変わり者ぶりを眺めて悦に入る趣味があった。
彼は、ある日マッチ棒で模型を作ることに傾倒している税務局員フランソワ・ピニョンを晩餐会に招待する。
しかし、会の直前に腰を痛めたうえ、喧嘩をした妻クリスティーヌに家出されてしまった。
キャンセルの連絡が間に合わず、ピエール宅まで来てしまったピニョン。
ピエールは彼に頼んで医師を呼んでもらおうとするが、それはこの夜を通して続く喜劇の始まりであった。
シュールなドタバタ喜劇
主人公のピエールは非常に嫌な奴です。
奇妙な人を見つけて笑いものにする晩餐会をわざわざ開く意地の悪さの持ち主です。
妻のクリスティーヌもそんなところが嫌いだと言い、出て行ってしまいます。
そんな彼がピニョンの巻き起こすドタバタ喜劇で踏んだり蹴ったりの災難に見舞われるのが本作のメインストリームです。
戻って来てくれた妻が追い返されるわ、愛人と決裂するわ、昔の恋敵に情けない姿を見られるわ、散々な目に遭います。
最初はピエールを意地悪な奴だなと思っていても、あまりの受難ぶりに途中から憐みすら覚えます。
しかし、すごく良い人がトラブルに巻き込まれる話だと、観ている方は可哀想と感じてしまうので、「嫌な奴が報いを受ける」くらいの仕上がりにした本作は正解だったのかもしれません。
呼び出されてこの喜劇に参戦するジュストが、常識人ポジションを取っているのも絶妙なバランスです。
コンパクトに展開するコメディ
一夜の出来事としては信じられない密度の展開が繰り広げられますが、
空間的にはほとんどピエールの自宅を出ることなく話が進みます。
これだけの喜劇を一つの家の仲で引き起こすなんて凄いと感じたのですが、
そもそもこの映画の原作は舞台演劇なのだそうです。
映画の表現は、空間の縛りというものから大抵無縁に展開しますが、舞台演劇の場合は様々な制約がある中で、壮大なストーリーや長い時間に渡る出来事を表現していること、その凄さを間接的に実感しました。
派手なところはないけれど、喜劇が喜劇を呼ぶ前後のつながりや、ピニョンのキャラクターによってしっかり笑える展開になっているところが秀逸です。
おわりに
おそらくは仕事もそれなりに成功し、妻との家庭も築いて人生順調だったピエールに突然降りかかる災難の数々が、ピエールには申し訳ないけど笑いを誘います。
文化的背景や知識を問わず、その場の展開を楽しんで笑うことのできる、素朴だけど完成度の高いコメディです。
小さいおっさん・ピニョンの巻き起こす波乱の数々に目を奪われつつ、ピエールを生温かい目で見守るのが良いかと思います。
短いですが、今日は此処まで。
映画『硫黄島からの手紙』
久々に日本語の映画を観ましたのでご紹介します。
クリント・イーストウッド監督『硫黄島からの手紙』のレビューです。
渡辺謙、二宮和也、加瀬亮など、ほとんどが日本人キャストで、ほぼ全編日本語のハリウッド映画です。
- あらすじ
- 硫黄島の戦いとは
- 玉砕作戦と洞窟作戦
- 兵士たちの群像劇
- 実在の人物
- 一兵卒たち
- 演技について
- おわりに
あらすじ
硫黄島の洞窟で調査にあたっていた硫黄島協会のメンバーは、ある日大量の手紙を探し当てる。
それは、戦時中に硫黄島で戦っていた日本軍の兵士たちが書き遺した、家族宛ての手紙だった。
遡って、戦局の決定的な悪化を迎えていた太平洋戦争下の日本。
小笠原の海に浮かぶ硫黄島には、陸軍きっての名称栗林中将が赴任した。
かつて会った西中佐との再会を喜ぶ彼だったが、間もなく硫黄島付近の兵力はすべて引き揚げられ、制海権も制空権もなく絶海の孤島に孤立してしまう。
また、大宮に家族を残してきた若者・西郷は、本土に帰ることを望みながらも目の前の状況に諦念を覚えていた。
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外国語の発音はネイティブみたいじゃなくてもいい
これまでに、リスニングやライティングは具体的な練習法の話を書けていたのですが、話す練習はこれと言ったツールがご紹介できないまま書いていました。
代わりに、何を考えながらスピーキングの練習をしていたかもう少し具体的に書いてみます。
発音に苦しんだスペイン語
英語やドイツ語ではそれほど難しいと思わなかった発音が、スペイン語ではなぜか物凄く難しく感じました。
今まで他の言語ではクリアできていたからこそ、「スペイン語もネイティブっぽい響きで喋りたいんじゃー」と意地になっていました。
巻き舌やら何やらは大丈夫だったので、個々の単語の発音はそれほど問題ありません。
問題は、文を喋ろうとすると一個一個の単語に注意を払っている暇がなく、途端に難易度が高く感じられてしまうことです。
スペイン語向いてない…と一時期くよくよしていましたが、あるドラマを一瞬見た時に考えが変わりました。
教材の音声にない発見をした瞬間
ドラマ『外交官 黒田康作』で、黒田がスペイン語で喋っている場面があります。
メキシコ大使館員と話す場面だったでしょうか。
ネイティヴでないことは発音でわかるけれど、
スペイン語であることははっきりわかるし、
意味も成している。
それまでガチガチのノンネイティヴ発音を嫌い、
一刻も早くネイティヴ並み発音になるしかないと思い込んでいた考えを改めました。
まずは「意味を成す」レベルに文法と発音を持って行き、その後からネイティヴっぽさを追求するのでも全然遅くない。
誰もがステレオタイプ的ラティーノな話し方(めっちゃ抑揚をつけたメロディックな喋り)をしなくてもいいと分かったのも大きかったです。
事務的に淡々と話されるスペイン語を聞いたのはそれが初めてでした。笑
もっと早くに気づいても良さそうなポイントですが、学習教材での明るく陽気なネイティヴスペイン語しか聞いたことがなかったため、そんなこともわかりませんでした。
後から色々映画やドラマを観てみたら、静かに喋るスペイン人なんて山ほど登場してたんですけどね…。
会話の多様なサンプルを聴く
いきなりネイティヴ発音を目指すのではなく、
中級ユーザーくらいの人の喋りを聞いて
「なるほどこの発音ならちゃんと意味が通じる&自分も真似できそう」
という目標設定をすることが意外と大事でした。
仕事で使うとかでもなく、ただの学習者でしたから。
以来、黒田康作を目標として笑、肩に力を入れずスペイン語のスピーキングに取り組めました。
今は、女優アドリアーナ・ウガルテのような静かで知的なスペイン語話者を目指したいと思っています。
ネイティヴ、ノンネイティヴ問わず、色々な人の喋りを聞いてみたのが役立ちました。
スペイン語に限らず
発音の難しさで定評がある言語の1つはフランス語です。
こちら↓はフランス語の歌『恋はみずいろ』がヒットした歌手ヴィッキー・レアンドロスですが、彼女はフランス語が母語ではありません。
ギリシャ人なのですが、西ドイツでレコードデビューし、ルクセンブルク代表としてユーロビジョンに出場しています。
もう訳がわかりません。笑
で、彼女のフランス語もまた完璧な発音ではなく、強いドイツ語訛りがあります。
(もしかしたらギリシャ語訛り?ギリシャ語不勉強なので、間違っていたらすみません)
この曲を聴いたことも、ネイティヴ発音至上主義を見直すきっかけになりました。
何でもいいわけではない
もちろん、意味が変化してしまうような発音のズレは避けるべきなので、よく言われる英語のLとRの発音や、ドイツ語のウムラウトなどは、難しいけれど最初に覚えるようにしました。
ポイントさえ押さえていれば、完璧じゃなくても通じたので、優先順位をつけてマスターしていくのがおすすめです。
おわりに
読み書きだけでなく話せるようになると、「着々と進歩してるぜ!」という実感が得られて楽しいですね。
自分の中でハードルになっていた発音問題の話が、どなたかのヒントになれば幸いです。
ではではまた!
映画『シェルブールの雨傘』
フランス映画屈指の名作であり、ミュージカル映画の古典とも言える『シェルブールの雨傘』のレビューです。
ストーリーが似てる『ラ・ラ・ランド』も悪くないけど私は断然こっちが好きです。
今回はあんまりネタバレしてません。
- あらすじ
- 美しいミュージカル
- 人生を描く映画
- おわりに
あらすじ
アルジェリア内戦の只中にあるフランス。
港町シェルブールにある傘店の一人娘ジュヌヴィエーヴと、整備工の青年ギイ。
真剣に愛し合い、結婚を約束している2人だったが、ジュヌヴィエーヴの母は結婚するには早すぎると言って良い顔をしない。
ある日ギイはアルジェリア内戦に徴兵されてしまい、ジュヌヴィエーヴといつまた会えるとも知れない別れを迎える。
ギイが町を去ってしばらくした頃、ジュヌヴィエーヴが妊娠していることが明らかになる。
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